230 / 259

「虚像」39

 こんなところを家族に見られたら、神近くんはそれこそいずらくなってしまうだろう。僕だったら恥ずかしくて顔を合わせられない。  遠慮のない動きに僕は思わず手を伸ばして、神近くんの太ももを押しやる。 「はぁ、ぁっ、かみちかくん。激しいから……声出ちゃう」 「良いですよ。いっそのこと、見せつけてやればいいんです」  神近くんは悪戯っぽい笑みを浮かべるだけで、加減はしてくれない。 「い、いやだっ……」  僕が首を振るも、襲いくる快楽には逃れられない。涙がボロボロと涙が溢れ出し、張り詰めた下腹部が痛いぐらいだった。  神近くんの指が僕の昂ぶりに触れ、先端から溢れる雫を纏いながら扱き上げてくる。 「あぁっ、ンッ……」  二重の責め苦に僕はすっかり抵抗する気も失せてしまう。足を神近くんの腰に絡めて、奥に誘った。奥まで挿し込まれ、ゾクゾクとした悦楽が背筋を駆け上がり、腰が浮き上がってしまう。 「……先輩。すごくエロいですよ」  神近くんの言葉で無我夢中になっていた事に気づかされ、羞恥心で全身が震えだす。 「そんなこと……言わないでっ」 「褒めてるんですよ」  褒められたって嬉しくない。まるで淫乱みたいじゃないかと言い返したくとも、言葉にはならなかった。 「ぁ、やっ、もうむりっ」  限界に近かった僕はぎゅっとシーツを握りしめ、快楽の波に飲み込まれていく。 「ッ……ーー」  ビクビクとした感触を中で感じ、神近くんが喉を鳴らす。

ともだちにシェアしよう!