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なおる 第1話

他人ののろけ話ほど、イライラするものはない。 ましてや自分の恋愛が上手くいってなかったなら、尚更だ。 昼食を食べに定食屋に入ったはいいが、席について注文を済ませると、向かいに座った同僚はひたすら恋人の話をし続けている。 そろそろ限界だ。 「───長谷川、お前の恋人がかわいいのは分かった。だが、今は食事中だ。おとなしくアジフライを食え」 「えー!ちょっと位聞いてよー」 「もう十分聞いただろ!?大体先週まであんなに落ち込んでたくせに、よりが戻ったからってうるさいんだよ!」 「だって、幸せなんだよー。誰かに言いたくってしょうがないんだ」 俺の言葉なんて気にもならないようで、デレデレしまくっている。 こいつは先月、1年半付き合っていた恋人に突然振られた。なんでも『もう、つらい』と言われたそうだ。 それからの落ち込みようは半端なく、俺は毎週末こいつのめちゃくちゃな飲みに付き合っては愚痴を聞いてやっていた。 同情してやったんだ!同情! しかしその後、結局元鞘に収まったらしく、この調子でのろけている… 本当に、こいつに付き合ってると頭が痛くなる。 さっさと別れちまえ!と心の中で毒づきながら、しょうが焼きを口に押し込んだ。 ───あー、頭が痛い。

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