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第13話
「夢……」
要はベット横のカーテンの隙間から空を見上げた。
今日は晴天だ。
今日の子供達のご飯、なんにしよう
昨日は鶏肉のトマト煮だから、魚…
『辛い麻婆豆腐作ってや』
思い出す昨夜の心の声。
楽しそうで明るかったのは、あの電話が鳴るまで。
麦茶を飲み終えると残りの惣菜を沢山買って帰って行った。
なんで心があんな顔をしなきゃいけないのだろうか。
麻婆豆腐も良いけど子供達は辛いの食えねぇ
甘酢あんかけにしようかな
起き抜けのまま階下の洗面所へ向かう。
キシ…と軋む階段を1段ずつ踏み締める。
そうやって生きていかなければいけないとあの人は言っていた。
だけど、階段の様に次が見える人生なんかあるんだろうか。
見えていても踏み外すくせに。
階段脇にも貼られた似顔絵の自分は笑っている。
俺は、こんな良い顔で笑えてる…?
そっと触れると子供達の笑顔が咲き乱れる。
ご飯が美味しいと笑い、野菜の収穫が楽しいと笑い、いつも元気をもらっている。
次第に暫く会っていないあの人の朧気な顔より子供達や近所の方の顔が頭を占めてきた。
みんなの為に取り合えず今日は生きる
心が教えてくれた生き方を今日もする。
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