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第9話

後日、 恐る恐る、といった感じで 話しかけてきた陽向は、 「八神さんと付き合ってるんですか。」 なんて言うから 思わず口の中に含んでいたオレンジジュースを 陽向の顔に噴きかける。 「ぶはっ…げほっげほっ…」 変なところに入って咳をする俺に 「わ、汚いなぁ…」なんて顔を袖で拭いた陽向。 「な、んで、?」 確かにあの、変な電話はしたけど、 俺は琉の名前なんて一切出して、、、 いや、出したな。 『…り、りゅうが好きぃ…』 脳内再生された自分の声に赤くなる。 でも、、陽向は琉の名前なんて知らないはずで。 結構強引だけれども、もしかしたら、 “りゅうちゃん”って女の子かもと思うじゃん。 「何でって、、 この前、電話の最後に、八神さんが出て 『ユキって、呼んでいいのは俺だけだから。』って。」 そういえば、電話を切る前に琉が何か話してたなと思い出す。 「っっ…!」 顔が赤くなったのを隠すために下を向いた俺に さらなる追い打ち。 「しかも、最近の雪成先輩、八神さんのことを “琉”って呼ぶようになったので。」 もう、隠すのも出来なくなった俺は 陽向に聞く。 「…みんな、気づいてる?」 「いや?俺だけじゃないっすか?」 内心安堵すると 「あ、えっと、俺行きますね、じゃあ!」 なんて急いで帰る陽向。 何で急に?って不思議に思うと 後ろから声をかけられる。 「ユキ、帰るぞ。」 「あ、うん!」 ふと、廊下に視線を戻すと 陽向の姿はもう見えなくなっていた。

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