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【メイド視点】シーグル子育て記~とあるメイドは見た~(3)

 夕食の時間が終わり、お風呂を終えたマコト様が最後の授乳を済ませると、婆様の体調チェックの時間になります。  その間に私はマコト様と私室へと向かい、必要な物や明日のお目覚めの時間、ユーリス様の日程などを簡単に会話をいたします。 「それでは、明日も同じ時間にお迎えにあがりますので」 「うん、有り難うリーン」 「勿体ないお言葉です」  スタッフにもにこやかに微笑み、必ず感謝と労いを下さるマコト様はこの屋敷の天使です。このような方にお仕えできることは、スタッフにとっても幸せな事。ですからこの屋敷の者は全力で、マコト様をお守りするのです。  なんとなく雑談をしているうちに、ユーリス様が戻ってこられ、私は頭を下げて戻ります。そしてふと振り向いたその背後では、マコト様がユーリス様の首に腕を回し、ユーリス様が屈むようにして愛しげにキスをする姿が映りました。  毎夜こうして旦那様を迎えるマコト様の、1日で一番幸せそうな顔を目に焼き付けることが、私の1日の一番の労いになっております。そんな事、きっとつゆほどもお知りにならないでしょうが。  何にしても今この場所は甘い甘い幸せの巣。そこに少し介入できる位置にいる私は、とても幸せなメイドでございます。

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