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1-眼鏡男子高校生が乙女雄悪魔と出会う

ある日、高校生の:逢魔野(おうまの)黎一朗(れいいちろう)がコンビニでアイスクリームを買おうと夜中に外出していたら。 「きゃああああ!!」 空から悪魔が降ってきた。 悪魔の名前はルルラル。 落ちこぼれのへっぽこ悪魔だそうだ。 「ルルラル、交渉してヒトの魂を手に入れるとか、陥れるとか、だめなんです、できないんです」 ルルラルはとても優しい悪魔だった。 だから悪魔の世界では後ろ指差されるレベルの劣等生らしい。 「だからルルラル、悪魔界を捨てて、いっそ人間界で生きていこうと思いました」 ルルラルは褐色肌の、前下がりショートボブのホワイトブリーチじみたサラサラ白金髪で片目を隠した、めちゃくちゃかわいい人間女子に見えた。 だけど背中には皮膜の破れた蝙蝠羽根っぽい翼←木の枝に引っ掛けたらしい、がバサバサと。 「……その姿で?」 「あ! 翼は仕舞えるんですよ!」 なんだか地面にお尻から落っこちて痛そうにしていたので、とりあえず自宅に連れて帰り(父親は海外赴任中、母親は付き添い中)、余分に買ったアイスクリームをあげたら。 ルルラルはとっても嬉しそうに、おいしそうに、アイスクリームを食べた。 すごくかわいい。 しかも格好が。 「その格好、すごいですね」 肩が剥き出しのボンテージ風編み上げコルセット、ヘソも丸出し、そして制服を模したようなチェックの激ミニプリーツスカートにニーハイソックス。 そんなかわいいせくしールルラル、いきなり黎一朗に土下座を。 「え、ルルラルさん、どうしました?」 「おっお願いします! ルルラルを黎一朗旦那様の下僕にしてください!」 旦那様って。 下僕って。 「いや、えっと、あの?」 「ルっルルラルめをどうかここに置いてもらえないでしょうか!?」 ああ、そういうことか。 いきなり下僕にしろと言われて目が点になっていた黎一朗、ほっと一息つくと、ルルラルに快く回答してやった。 「別にいいですよ、下僕とか関係なしに、ここにいても」 ルルラルさん、かわいいし。 ただ、男だけど、ね。

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