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第50話

「俺と一緒に居るのは嫌か?」 「嫌じゃないですけど」 「じゃあ、セックスは?」 「嫌じゃないです。嫌ならぶん殴ってるし」 なんなんだ、その質問。そもそも嫌いな人と一緒にいること自体苦痛なのに、セックスしたり、お泊まりしたりしないだろう。と言うかできない。だから友達が少ないとよく言われるんだ。 そう考えると、俺は蓮さんの事が好きなのかもしれない。 「もう答えは出てると思うんだが」 「でも、これは恋心なんでしょうか…。好きってどういう感情なんだろう…」 「深く考えすぎなんじゃないか?直感で良いんだよ。まぁ、急いでないから答えが出たら教えてくれ」 好きってイマイチ分からない。ドキドキしたり…後は?ドキドキするだけ? うーん…難しい。 こんな悩み、誰にも相談できないし…。今の歳で恋を知らないなんて、恥ずかしくて誰にも言えない。きっと一般的には小学生の頃から恋心というモノを知るのだろう。俺はその頃『宇宙戦隊 パントマン』に夢中で全く興味がなかったが。 「本屋さんに行きたいです。できるだけ大きな本屋さんに」 「なら、ドライブついでに隣町のショッピングモールにでも行くか」 こうなったら本を読んで調べようと思い、蓮さんにお願いした。 車の免許は持っていないので、蓮さんしか運転できない。それも悪い気がするけど、自分が運転できる自信ない。そもそも教習所を卒業できる自信もない。 「デートだな」 「で、デートになるんですかこれ」 「なるだろ。嫌か?」 「…嫌じゃないです」 その質問はズルい。だって、嫌だとは答えられないから。

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