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第51話

少し離れた隣町の、ここらじゃ一番大きなショッピングモールに来た。 来るのは初めてだから、色々見て回りたい。 でも先に行くのは本屋さんと決めていた。無理矢理俺に付き合わせるのは悪いと思い、予め蓮さんには「別行動にしますか?」と言うと「嫌だ」と拒否されたので一緒に着いてきてもらうことにした。 「本屋は一階だな。行くか」 「あ、はい」 案内の掲示板を見て、本屋さんが何処にあるのか探していたら、一番先に蓮さんが見つけてくれてそこに向かって歩き出す。 やっぱり土曜日なだけあって人が多い。友達同士や恋人同士、家族連れも多くて小さな子どもも走り回っているので、ぶつからないかヒヤヒヤする。 「着いたぞ。俺も見たい本があるからちょっと行ってくる」 「分かりました。俺、漫画コーナーにいます」 ここで別行動になった。 蓮さんの姿が見えなくなったのを確認してから、俺は少し早足で漫画コーナーまで行って、真っ先に少女漫画がたくさん並んである棚の前で足を止める。 19歳、会社員の男一人で少女漫画のコーナーにいるのは恥ずかしいが、俺の中での設定は『妹に少女漫画を買ってきて』と頼まれた兄という設定だ。だから恥ずかしくない、仕方がない、と自分に無理矢理言い聞かせた。 何故ここに来たかというと… 恋と言えば、少女漫画でしょ! 少女漫画を読めば、少しは恋について分かるかもしれない。 試し読みができる漫画を手に取って読み始める。 『恋をしたら、世界が虹色に見える…!』 いや、見えないと思う。それ病気だよ病院行け。 『髪にポッキーついてるぞ☆』 『ドキッ♡』 どんな食べ方したら髪にポッキーなんて付くんだよ。ドキッてあれでしょ?恥ずかしすぎてドキッてことだよね?そうだと思いたい。 『私、翔太くんが好き…!』 『ごめん、俺あかりちゃんの事生理的に無理。だから、ごめん…』 !?これ少女漫画だよね!?小学生向けだよね!?告白して生理的に無理ってトラウマレベルだろ!やめとけ!翔太くんなんてやめとけ!

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