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第10話
その温もりを感じながら……
僕を探す為に沢山駆け回ったのだろう大地の汗臭い匂いと、煙草の残り香を吸い込むと
すっかり硬くなってしまった僕の心を、すっと溶かしていく……
……大地……
その胸に顔を埋め、内腿を擦り合わせると、ソコからまたとろりと昴生の放った液が溢れる。
その感覚が、容赦なく僕を冷たい現実へと引き戻す。
「……汚れ、ちゃった……僕」
急に震え出す指先。
その手を、大地が取り
優しく導いていく。
「……綺麗だよ、玲央は」
そしてその指先にそっと
大地のセクシーな唇が触れる。
瞬間。大地の温かな愛情が吹き込まれ、解けていく……
「……大地、好き…」
僕の口から、本音がぽろりと溢れる。
本音の本音を言ってしまえば
花火なんかどうでも良かった。
大地と一緒にいられるなら……同じ景色を見られるなら……
……何だって、構わなかった……
大地の唇が、僕の薬指の付け根に触れ
次いで手の甲へと当てられる。
その熱にやられ、僕の胸が期待で熱くなっていく……
「……しても、いいか?……キス」
「そ、そんなの……聞かないでよ。ばか……」
熱くなった頬のまま、大地から視線を外す。
大地の手が伸び、僕の横髪を優しく指に絡めて梳く。
そしてその手が後頭部を包み込むと、ぐいっと大地の方へと引き寄せられた。
僕は薄く瞼を閉じて、少しだけ顎を突き上げると、期待に胸を膨らませながらその熱を待った。
全てを見ていた満月の明るい光が
顔を寄せ重なった二人を照らし
その影を、静かに落とした。
─END─
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