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優しく触れるようなキスはくすぐったい。
舌が絡まるキスは苦しくなる。
何度も何度も角度を変えて、離してくれない激しいキスは頭がおかしくなりそう。
でも、その全てが嬉しくて幸せで、俺を溶かしていくようだ。
暁斗さんはキスの後、俺の服を丁寧に脱がしてから自分の服も脱いで、初めて裸で抱き合った。
あったかくて、ドキドキする。
人と触れ合うのって、こんなに緊張するんだ。
「... っ、あ、」
「ゆっくりするから、痛かったら言って」
「ん... っ、大丈夫、」
今までは執拗に攻められてイカされたけど、今日は違った。
下半身は宙を向いているけど、一度も触れられていない。
暁斗さんがトロトロした液体... ローションを俺の後孔に落として、入り口に指を当てる。
くぷっと音を立てながらゆっくり入る指が、暁斗さんがナカに入る準備をしてくれる。
違和感でしかないそれも、すぐに快感に変わって俺の口からは変な声が止まらない。
「あっ、あ、あきとさ... っ!」
「イキたい?でも我慢して」
「やっ... また意地悪、やだっ」
「今日は意地悪じゃないよ。... 俺と一緒にイこう?」
そう言った暁斗さんが俺のナカに入っていた3本の指を抜く。
一緒に、そう言った暁斗さんのモノは俺と同じように大きくなっていた。
... ... 暁斗さんのって、ちゃんと見ると俺より遥かに立派なんだよな。
これが俺のナカに入ってただなんて、暁斗さんじゃなきゃ発狂してる。いや、入れさせないし受け入れない。
まだ一度もイッてない俺は、ついこの間の意地悪されたときよりも意識がハッキリあったし、思考だってしっかりしている。
むしろ今までトロトロになるまで前戯があったのに今日はやけにあっさりしているような気がして物足りない。
... 別に淫乱なんかじゃないけど、そう思ってしまった。
「何考えてるの?」
「えっ、」
「... 今日は随分余裕そうだよね」
「そんなこと... っ!」
「ま、そうさせてるんだけど。」
話しながら何処から出してきたのやら、コンドームの袋を歯で破った暁斗さんは、それを装着して入り口に当てた。
そんな姿にすらキュンとしてしまう。
早く早く、って全身が期待して、俺を暁斗さんでいっぱいにしてって、おかしくなるくらい、目茶苦茶にしてって、頭の中がいっぱいになる。
だけど暁斗さんは中々その先に進まなかった。
... 前はコンドームを着けたことに気付く時間もないくらい、すぐ挿れたはずなのに。
「... ... ... 暁斗、さん... ?」
もしかして... 、やっぱり出来ないとか... ?
俺が悩んでいたように下手くそだったとか?
... いや違う、暁斗さんのは萎えてもないし、むしろゴムが破けるんじゃないかってくらい立派に反り立ったなままだ。
「... ... はは、ごめん。緊張して... 」
「暁斗さんが、緊張... ?」
「この前... いやその前も... 俺の欲に響くんを流してたでしょ?でもなんかこう... 付き合って初めてのセックスはちゃんとしたいっていうか... 」
「え... ... ... ?」
「... 響くんを大事にしたいってこと。だけど多分目茶苦茶にしちゃうんだろうなぁって... 」
暁斗さんは紳士で優しい。
俺を大切にする、大事にするって言ってくれて、偽りなくそうしようと努力してくれてる。
... だけど、俺も男だ。そう簡単に壊れたりしないし、何より俺がそうなることを望んでる。
(言わなきゃ分からないこと、伝わらないことってこういうことか。)
俺は身体を起こして、暁斗さんにそっとキスをした。
それからちょっと恥ずかしかったけど、自分の言葉でちゃんと思ってることを伝えた。
「暁斗さん、俺、暁斗さんに目茶苦茶にされたい。」
『え?』って暁斗さんは驚いたように言葉を漏らした後、『はぁ』と小さくため息をついた。
それからゆっくり俺を押し倒して、もう一度、さっきよりも強く入り口に暁斗さんのモノを当てた。
「... ... ... そんな煽り文句言われたら、止められないからね?」
ズン、と肉壁を割って、一気に奥まで貫かれる瞬間、俺は今までに感じたことのない幸福感で満たされていた。
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