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目覚めれば部屋は真っ暗。 喉は痛いし、身体は動かせない程に痛いし、なんかカレーの匂いするし... !! 「っ、あ、暁斗さんっっ!!!」 いつもはそこにある腕枕が無かったことも気になるけれど、食器の音とこの匂いが寝起きの俺を焦らせた。 「おはよ、起きた?」 「起きた、けど!!ねぇっ身体動かないっ」 「やっぱり?んー、やり過ぎたなぁって反省してた。」 「あと暁斗さん!もしかして... その... っ」 「... 響くんが作ってくれたんだよね?あの美味しいカレー。ごめんね、起きるの待てなくて食べちゃった。本当に美味しかった。」 『響くんが作ってくれた』『美味しいカレー』 その言葉が俺の胸をキュンとさせたのは言うまでもない。 暁斗さんの嬉しそうな顔とこの言葉で、作ってよかったとホッとしてしまう。 「響くんも食べる?」 「うん。... あ、暁斗さん、」 「んー?」 「... ... おかえりなさい。」 「... ただいま。」 やっと言えた『おかえりなさい』。 歩けない俺を抱き抱えてリビングのソファーに運んでくれた暁斗さんは、俺の作った肉多めの甘口カレーを食べさせてくれた。 味見は何度もしたから、味は分かってるんだけど... エッチ、しかも結構激しいのをした後の身体は思ってた以上に空腹で、自分でも美味しいと思ってしまう。 実は俺、料理上手... ?なんて自惚れてしまうほどに。 そのあと動けない俺に、『カレーのお礼』って言って暁斗さんは洗い物や片付けをしてくれた。 一服してるときのブルーベリーの匂いがやけに懐かしく感じて、いつもは1本だけのタバコを2本吸って貰ったり、お風呂は恥ずかしいからいいって言ったんだけど、『汗かいたから』って連行されて身体も髪も洗ってもらったり。 ちなみに目覚めたとき身体のベタつきを感じなかったんだけど、それは暁斗さんがエッチが終わったあとに俺を拭いてくれたからなんだって。 髪も乾かしてもらって、もう遅いからベッドに行こうって移動するときもお姫様だっこされちゃって、お決まりの位置で腕枕してもらう俺は、優しい暁斗さんに、更にメロメロになってしまう。 「暁斗さん、ちゅーしたい」 「ん、」 「... へへっ」 「そんなに可愛いことしてたら、また襲うよ?」 「え!?き、今日はもう無理っ!!」 「はは、冗談冗談。... でもこれから覚悟してね?」 「覚悟?」 「もう、『なんでエッチしないんだろう』なんて思えない程にすると思うから。... 俺のモノになった響くんに、我慢なんて必要ないでしょ?」 おやすみのキスにしては激しい、舌の絡むキスをしたあと微笑む姿は、『意地悪』だけどそこにも俺の胸はキュンとしちゃって。 愛しい暁斗さんの腕の中で、ドキドキを押さえながら眠りについた。 ーーそしてこの日を境に暁斗さんは言った通り『我慢』なんて言葉を忘れたらしく、日々身体を重ねるようになった。 ✳✳✳✳✳ 「っん、あっ、あきとさんっ... !」 「ん、俺も... ... イキそ... ...っ 」 「あんっ、あっ、あああっ!!」 「っく... 、」 あれから暁斗さんと会う日は必ずと言っていい程エッチしてて、俺の身体も一日一回位なら翌日に影響はない、それくらいには慣れてきた。別に盛ってるわけじゃないけど、何度肌を重ねても翌日には暁斗さんが足りないって思っちゃうんだよな。 そんな12月の中頃、世間はクリスマスムードでイルミネーションがキラキラ光ってて、俺の頭も暁斗さんと過ごすであろうクリスマスのことでいっぱいだった。 「ねー、暁斗さんっ」 「んー?」 「24日か25日、会える?」 「聞かれなくてもちゃんと開けてるよ?響くんは?」 「連休取ってある!!」 「よかった。じゃあ泊まりで何処か行く?って言っても今からじゃ予約取れないかなー... 」 「暁斗さんと一緒なら何処でもいい!ってかいつも通りでいい!」 「クリスマスだよ?いつも通りって... 」 「いいの!一緒に居れたら幸せだもんっ」 エッチの後のお風呂もすっかり慣れた俺は、身体を洗いながら暁斗さんにそう言った。 暁斗さんとクリスマスを過ごせるなら、場所なんて何処でもいい。 いつも通りこの部屋でイチャイチャできたら幸せだし、何より初めて『好きな人』とクリスマスを過ごせることに俺の胸は高鳴っていた。 「じゃあ、約束ね?」 「うん。」 子供みたいに指切りして、プレゼントは何にしようかなーって考える俺は、まさかクリスマスがあんなことになるだなんて考えてもいなかった。

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