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中華料理1

「タマちゃん。中華は好き?」 ニコニコと微笑みながら、竜蛇が聞いてきた。 「はい。てゆうか、キライな食べ物ってないです」 「そう。よかった」 鉄平は今、竜蛇の高級車に乗せられている。 この日、鉄平は竜蛇に志狼と三人で晩ご飯を食べに行こうと誘われていた。 志狼は仕事帰りに直接店まで来ると言うので、竜蛇が鉄平を迎えに来たのだ。 助手席には、いつものように若頭の須藤がいた。 須藤と鉄平は一度会っている。 「こんばんは。須藤さん」と、ニッコリ笑って挨拶をした鉄平に、須藤も好感を持っていた。 あの志狼が本気でこの少年と付き合っている事は意外だった。見るからにカタギたし、平凡な少年だ。 組長の友人の色男は、蛇堂組のシマの男娼をしょっちゅう食っていたのだから。 だが、物怖じせず竜蛇と話す鉄平を見ていると、妙に納得もしたのだった。 「あ!」 信号待ちの間に鉄平が声をあげた。 「どうしたの?」 「あの、知っている人が……」 鉄平が指差したのは、横断歩道を渡っている佐和だった。 「相談にのってくれて、親切にしてくれたんです」 「あれはうちの下っ端の佐和ですよ」 「ふぅん……」 竜蛇は佐和を見て、面白そうに目を細めた。 「あっ」 「ちょっと!? 組長!」 信号が青に変わる前に、竜蛇はドアを開けて車を降りてスタスタと歩いて行ってしまった。

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