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第13話

突然、記憶が消えた。 大切ななにかを忘れているような気がする。 「命~!ごはんできたよ!」 「はーい‼皆、行こっか。」 一緒に遊んでいた子どもたちに声をかける。 「わかった~!みーちゃんは今日は同じご飯だよね?」 「…ごめんね。ちょっときぶんが悪くて。」 「ざんねーん!」 記憶がないけど僕はいまお腹に赤ちゃんもいて、幸せだ。 父親の名前はわからない。けど、笑美ちゃんが一緒に暮らしてくれて楽しいし、不安もない。 大家族で、食卓を囲み、ご飯を食べる。 「みーちゃん、もっと食べんさい。」 「そうだぞ、もっと食べて栄養を赤ちゃんにあげんとなぁ!」 「えへへ、じゃあもうちょっと食べようかな」 「みーちゃん、僕のブロッコリーあげる‼」 「あ、ずるーい!私もー!」 「こーら!好き嫌いは許しません‼」 「あはは!」 暖かくて、気持ちがいい。 前は、もっと心がキツキツだったような気がする。心配や不安で押し潰されそうな感じがする。 「君のおとーさんは、いったい誰なんだろうね?」

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