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第12話

家に帰ると、命がいなかった。 「母さんの部屋かな。」 コンコン「母さん、命が来てない?」「いいえ、来てないわ。どうしたの?」「…命がいないんだ。」 「静江、諒、ちょっと話をしようか。」 入ってきたのは、薄笑いの父であった。 「諒、お前は来月 智里くんと結婚をしてもらう。」 「あなたっ!どういうこと?」 「合田社長と話をしている。智里くんも承諾している。」 「俺には、命がいます。」 「命は、いまどこにいる。」 「それはっ…。」 「僕、命くんを見たよ。」 「彼は自分の意思で出ていった。」 あり得ない。そんなこと。 「諒、あなたは命ちゃんを探しに行きなさい。」 智里はそんな母を睨んでいた。 「ありがとう、母さん。」 俺は急いで、村元を呼び、家を出た。 「あなた、そして智里さん。私は今とても怒りでみち溢れています。」 「諒は、あのこは自分で相手を見つけた。しかし、親であるあなたはそれを反対した。」 「それはっ…「なぜ、あのこは一生こんな辛い目にあわなければならないんでしょう。」 「…。」 「智里さん、あなたは自分自身のことしか、考えていません。命ちゃんは、SPが重い荷物を持つと、心配そうに何度も何度も、気にかけていました。それに、諒の幸せを願って今回も自ら離れたのでしょう。」 「でも…僕は、諒を愛しています‼」 「お黙りなさい‼ あなたはなにもわかっていません。諒を思うなら、命ちゃんは今まで、ずっと辛い想いをしていません。」 「…。」 「もし、まだ考えを正さないというなら私はこの家を出ます。私はいつだってあの子達の味方です。私は実家に帰らしてもらいます‼」 「…⁉」 「静江‼待ってくれ‼」 「亜美さん、行きましょう。」 「はい。奥様。」 バタン。 「…。智里くん、この話は無かったことにさせてください。」 「そんな⁉」 「私はわかっていなかった。静江も諒も。でも、本当に愛していたんだ。だから、失うのは嫌なんだ。」 「…。僕は。」

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