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第11話
外は雨が降ってきた。
いつの間にか外に出ていて、遠くへ遠くへ歩いていた。
人混みを避け、どこかわからない公園のベンチに座った。
「ひぅッ…ふぇぇ…諒ぉ…。」
涙が溢れて、地面に落ちる。
「…ねぇ、これからどうしよっか。二人で…っ…頑張らないと。」
お腹にいる小さな小さな僕の赤ちゃんに訪ねる。
「あんた、どないしたん?」
目の前に傘をさした女の子が立っていた。
「え…。」
「ずぶ濡れやん⁉ほら、ウチの家においで。」
「でも…。「あんた、オメガやろ。しかも赤ちゃんがおる。」
「赤ちゃんが死んでもいいん?」「…お邪魔します。」
「ごめんなぁ、こんな大家族で。」
「いぇ。」
大きな家の玄関には10足ぐらいの靴があった。
「でも、あんな雨のなか傘もささずにどないしたん?」「…僕は捨てられたんです。」
「僕の大切な人に。」
「逃げて逃げて、いつの間にかあんな所にいたんです。」
「…。そんな男もう忘れ。ウチの家は一人二人増えても構わん。好きなだけおり。」
「ありがとうございます。」
「そや、ウチの名前言ってなかったな。ウチは、杉井 笑美。」
「僕は、早河 命。」
僕は、諒を忘れようとした。
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