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第2話
「あちー、今日やべぇな」
ジリジリと照りつける太陽の下、呟くのは長身イケメンのヨシこと北上ヨシヤス。
大学の授業を終え、午後に、自転車で親友のみずきの働いているコンビニに顔を出したのち、自宅へ帰ろうとしていたところ。
夏も終わりにさしかかろうとする時期にもかかわらず、再び暑さがぶり返してきた。
「車でくれば良かった」
運動不足にならないように、近距離は極力自転車で動いているヨシ、しかし今日のような猛暑の日は短時間、日向に置いた自転車も鉄板の如く熱せられている。
「ん、あれ…」
げんなりしていたところ、見知った人物が視界の前を横切っていく。
とりあえず熱くて乗れない自転車は日陰に移動し置いておいて、その人物に駆け寄っていく。
「おい、アキラ?」
「ん?…げ、ヨシ」
声をかけた相手は、BLAV撮影会社でバイトしていた頃の後輩、楠木アキラ。
ロシア系ハーフのアキラは、深緑の瞳に淡い栗色の髪、色白で身長もそれほど高くないため、一見美少女のように映る。
しかし、振り返り、ヨシを見るとその端正な顔をしかめ、この態度。
「んな、あからさまに『げ、』とはなんだよ、せっかく声かけてやってんのに」
こちらも負けじと言い返す。
「必要ないし」
「相変わらず可愛くねぇな」
可愛い見た目に反してめちゃくちゃ口悪いし、年下のくせに生意気だし、中身と見た目のギャップがありすぎだろ、とぼやく。
「うるせ、」
「なんだよ、ここ通ったんならみずきのとこ顔だしていけば?そこで働いてるぜ」
すぐそこにみずきの働くコンビニがある。
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