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第14話

「黒猫みっけ!」 なんか嬉しそうな声がして嫌な予感がした。 その人物はモブという名札を付けたみたいなモブ顔の男だった。 こんな奴いたっけ?と首を傾げる。 服は白い、白の騎士団のモブか。 今白の騎士団は嫌な予感しかしない。 それになんで嬉しそうな顔をして…まさか… 「団長が探してたよ、ご主人様のところに帰ろうか」 誰が誰のご主人様だ!絶対帰らないぞ! まだ数分しか経ってないのに捕まるのが早い。 じたばた暴れてモブの腕から抜け出す。 さぁ走るぞ!と意気込んでいたが、俺が着地した場所に地面はなかった。 …あれ?なんで? ※第三者視点 さっき廊下を歩いていた騎士達に片っ端から黒猫を探すように言われた。 ブライドの猫溺愛は白の騎士団の奴らなら皆知ってる事実で断る騎士はいなかった。 …ブライドが騎士団長だからというのもあるが、白の騎士団はブライドの美しい美貌に心酔している団員がほとんどで皆いい顔したくて血まなこになり探していた。 そしてモブが黒猫を見つけて、嬉しそうな顔をする。 特別は望まない、ただ団長の笑顔が見たいだけなんだ! しかし黒猫は何処かに行ってしまった、あれ?走るのが早くても後ろ姿は見えるのに… 這いつくばり隠れてないか見ると、視界に足が見えてゆっくりと顔を上げる。 「邪魔だ、退け」 「げっ、ゼロ」 白の騎士団の皆が最も見たくない顔であるゼロが不機嫌な顔を隠しもせず立っていた。 その後ろにはミイラ男…アルベールがいた。 正直どうしてこうなったのかアルベールがめちゃくちゃ気になる。 モブは渋々起き上がりゼロを睨むが、眼力で人を殺せそうなほど睨み返されてすぐに目を逸らした。 白の騎士団と黒の騎士団は敵対しているが、ゼロの実力は誰もが知っているから喧嘩は売らない。 でも強気な態度は取る。 「な、何の用だよ…黒の騎士団長が」 「お前耳塞がってんのか?邪魔だ、退けって言ったんだ」 ガッと廊下の壁を蹴り、ヒビが入ったのを見て顔が青白くなった。 相当今日のゼロは機嫌が悪い。 すすっと道を開けると廊下を歩いた。 そうか、アルベールは八つ当たりされたのかと納得した。 お前もアルベールみたいにしてやろうかという空耳が聞こえた気がした。 アルベールはあんな格好になっているのにゼロの肩を掴んだ。 「おいゼロ、恋人が行方不明だからってずっとすれ違う奴ら全員に八つ当たりしても恋人が見つかるわけじゃねぇんだから」 「……それはもういい」 「?」

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