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第18話
※影視点
生まれた時からずっと一緒にいたゼロさんがいなくなり驚いて泣いた。
なんでいなくなったの?僕が嫌いになったの?
問いかけても誰も答えないし、何も聞こえない。
怖い、怖いよ…
しばらくずっと泣いて泣き疲れて眠った。
いつもは抱きしめてくれる彼がいない、寒いよ。
また目を開けたら一人ぼっちになる。
ゼロさん…
「ツカサッ!!」
ゼロさんの声が暗闇で響く。
これは幻聴なのだろうか…幻聴でも縋りたい。
手を伸ばすと暖かい手に握られ暗闇から引きずり出すように引っ張られた。
強く抱きしめられて大好きなニオイがして背中に腕を回す。
…しばらくお互い何も話さず、ただ抱きしめていた。
離れたらまた何処かに行ってしまいそうで怖かった。
「ツカサ、一人にしてごめん」
「ううん…またゼロさんに会えたからいいの」
お互い見つめ合い、微笑むとどちらかか分からない口付けをした。
数時間離れていただけで随分久しぶりのような気がして夢中になった。
こうして触れ合っている時がとても安心して身体の芯から喜んでいると分かる。
このまま本当に溶けてゼロさんの一部になれたらいいのになと思った。
もっともっとゼロさんを感じたいって思う事は悪い事なのかな?
こんな浅ましい僕は、嫌い?
「はっ、ふぅっんっ」
「ちゅっ…はぁ、ツカサ」
長くボーッとするような口付けが終わり僕はゼロさんに寄りかかる。
ゼロさんは頭や背中を優しく撫でてくれる。
…幸せな気分、これが好きって事なんだよね。
全部ゼロさんに教えてもらい、ゼロさんに向けるこの気持ち…
名前を呼ばれるだけで嬉しくてたまらなくなる。
雰囲気に呑まれつい口を滑らせてしまった。
「ゼロさん、僕…もっとゼロさんを感じたい」
ピクッと背中を撫でるゼロさんの手が反応した。
ダメだったのかな?不安になりゼロさんの顔色を伺う。
ゼロさんは僕をジッと見ていた。
いつもより熱い眼差しでドキッと胸が高鳴った。
なんだろう、いつも優しいゼロさんが優しさの裏に僕を支配しようとしている強い気持ちが透けて見えてしまい震えた。
怖いから震えてるんじゃない、支配される事への喜びを感じていた。
「ツカサ、意味分かってるのか?」
「?」
「何も知らないならやめた方がいい…ツカサを傷付けたくない」
僕が傷付く?なんで?
ゼロさんがしてくれる事なら傷つかないのに…
僕が嫌だと思う事はゼロさんと離れる事だけだよ?
ちょっと離れただけであんなに悲しく苦しくなったんだ、もう…味わいたくない気持ちだった。
それにゼロさんが与えてくれる事なら僕は何でも受け入れる。
だって僕はゼロさんで出来ているようなものだから…
「ゼロさんがしてくれる事なら何でも嬉しいよ?だって、ゼロさんの事大好きだから」
「ツカサ!」
ガバッとゼロさんが僕に抱きつき、その勢いで押し倒された。
驚いて目を丸くするとほんのり頬が赤いゼロさんが見えた。
…こんなゼロさん初めてだ、もっといろんな顔が見たい。
初めは驚いたがすぐにゼロさんの首に腕を回して抱きしめる。
軽く触れるだけのキスをした。
…こんなんじゃ足りない、もっと溶け合うようなキスをちょうだい。
「ツカサ、痛いかもしれない…それでもいいか?」
「…うん、いいよ…ゼロさんが与えてくれるなら痛みでも受け入れるよ」
僕が微笑むとゼロさんは「聖母だ…」と呟き、よく分からず首を傾げる。
ゼロさんは僕が痛くて泣いちゃうと思っているのだろうか。
確かに泣き虫だけど、ゼロさんの愛なら全然平気だ。
指を絡ませて、さっきよりも深い口付けしながらもう片手は僕のシャツに滑り込んだ。
冷たい手のひらが腰回りを這う。
少しくすぐったくて変な気分になった。
「痛くないように優しくする」
「ゼロさ…ひゃっ」
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