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第22話

スノーホワイト祭二日目。 寝袋の中で半分眠った状態で起きる。 目元を擦りうとうとと頭をカクカクと揺らす。 もぞもぞと寝袋から出て伸びをする。 初めて寝袋で寝たから寝心地悪いか心配だったが快適に起きれた。 洞窟の外側から光が差してほんのりと洞窟内を照らした。 「うーん、よく寝たぁ」 「おはよう、ツカサ」 「おー、おはよ……!?」 目を擦っていたが、一気に覚醒した。 横を見て驚愕と恐怖がごっちゃになった…つまりわけわからない顔になって隣を見る。 いつの間にか入ってきたのか謎だが、隣にゼロが一緒に横になっていた。 そこで昨日の夜の出来事を鮮明に思い出した。 ゼロは洞窟を出ていったのではなかったのか!? 寝袋に戻り、ミノムシになりじりじりと離れる。 「いっ、いいいつからいた!?」 「安心して、夜は外で過ごしたからツカサの朝食作るために戻っただけだから」 そう言い焚き火の近くに魚が串に刺さって焼かれているのが見える。 美味しそう…ゼロが釣ってきたのか?こんな寒い外で? 日の出が出たばかりだからまだ夜のように寒いだろう。 ゼロはなんでこんなに尽くすのだろうか。 見返りを求めているわけではなさそうだけど、謎だ。 寝袋から這い出る。 「ゼロ、あのさ…」 「…魚嫌い?」 「そうじゃなくて…寒くないか?外」 「別に寒くない、俺の身体耐性シールド張ってるから」 耐性シールドってグリモワール100レベルで覚える火・水・風・土・光の五大属性無効化魔法じゃないか。 それでも普通のグリモワールならせいぜい一回の魔法攻撃を防ぐだけで次の耐性シールドを張るのに時間が掛かる。 ゼロみたいに常に掛けてるグリモワールなんて見た事がない。 多分他の職業も合わさり継続させられるほどの魔力が強いのだろう。 本人も強がってる顔でない事は見てれば分かるから本当に寒さを感じないのだろう。 それでもやっぱり… 「ゼロ、もし…お前が望むなら」 「魚焼けたよ」 人がせっかく勇気を振り絞ろうとしてるのになんで遮るんだよ… 持つ部分にタオルを巻き渡されたからありがたく受け取る。 綺麗な焼き目が付いた焼き魚、昨日の料理といい料理スキルも高いんだろうな。 むしろコイツの苦手なものなんてあるのか?チート過ぎるだろ。 しいて言うなら変態のところか? さっきは遮られたが今度こそ言おうと思ってたらゼロは立ち上がった。 「…ゼロ?」 「今日用事があるからもう行くね、夕飯には帰ってくるから」 そう言い急いで洞窟を出ていった。 ゼロは俺の飯を作るためだけに来たのか? それに用事ってなんだ?騎士団の? だったら普通こんなところまで来ないよな。 騎士団じゃない大切な用事か?俺よりも?…とか思う自分が心底気持ち悪くて急いで魚を食べ何度も壁に額を打ち付けた。 ヒリヒリしたところで冷静になる。 「俺も出かけるか」 猫耳ローブを着ながらガイドブックの点数を確認する。 ー1500pー こんなのじゃ地道過ぎて優勝なんて無理だろうな。 もう優勝候補達は一万ポイントぐらいありそうだし… パラパラとガイドブックを見て、雪山に現れるモンスター図鑑を見た。 チラシにはスノーホワイトしか書いていなかったからスノーホワイトしかいないと思っていた…名前もスノーホワイト祭だし… しかしいろいろいるんだなぁ… フラワーフラワー20p スノーホワイト50p スノーゴブリン100p スノーマン500p 銀蛾(ぎんが)1000p キングプリン10000p 俺の昨日の苦労が消し飛ぶようなポイントの奴がいる。 なんだよ、美味そうな名前して一万ポイントとか… こんなのいっぱい見つけたらすぐに優勝しそうだが、そう上手く行くわけない…しかも強いだろうし何匹も倒せない。 そして最後のモンスター図鑑のページを見て驚愕した。 ガーゴイル100000p 「10万ポイントォ!!!???」 誰もいない洞窟に虚しく俺の声が響いた。 こんなにポイントが付くなんて相当ヤバい強さなのかもしれない…デーモングリズリーと同じか、もしかしたらそれ以上の可能性も… ガーゴイルは雪山に二体しかいないから早い者勝ちだと書かれていた。 ガーゴイルを倒したらそいつが優勝だろうな…俺に出来るのか? いや、無謀な戦いは止めよう…少しランクを上げてスノーゴブリンを探すか。 それでいけそうなモンスターまで倒していけばいいだろう。 誰もガーゴイルを倒さない事を祈り防寒具を着て洞窟を出た。 魔法陣に乗りゴブリンを探す。 見た目がよく分からないがゴブリンみたいなのを探せばいいよな。 スノーホワイトはあちこちにいるがスノーゴブリンが見当たらないな。 ちょっと人が固まってるところに降りてみる。 皆地面を掘って何をしてるのだろうか。 身近にいたスコップを地面に差し込む人に聞いた。 ……子供? 「あのー、ちょっといいですか?」 「ん?なに?」 子供がこんなところで危なくないだろうかと心配になる。 まぁ見た目は子供だがレベルはある程度あるのだろうな。 肩まで長い茶髪を後ろに束ねている少年が振り返る。 俺は目を見開いて驚いた。 少年は黙り込む俺を不思議そうに見ている。 大きな瞳は今にも溢れそうだった。

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