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第1話

 これはいったいどういう状況だ。 高校のクラスメイト兼友人の花森(はなもり)が、俺の上に乗っかっている。 「えっ?」  たしかに今俺が寝ているのは花森の部屋の花森のベッドだけど、客だから俺がベッド使っていいっつったよな?俺が床で寝るからって花森、言ったよな?  え、じゃあなに、寝ぼけてんのか?いやいや、おやすみーつって電気消したのたったの10秒前なんですけど。寝ぼけるの早すぎね?つうか1回寝たの?とりあえず確認してみる。 「花森、やっぱりベッドの方が良かったのか?じゃあ俺、床でいいから……」 「茎田(くきた)」 「な、なんだよ?」 「セックスしようぜ」 「……は?」  おまえは何を言っているんだ。 ……あ、俺の聞き間違い? 「えーと、いまなんて?」 「セッ・ク・ス・し・よ・う・ぜ」  軽快に繰り返された。俺の聞き間違いじゃなかったみたいだ……っって、セックスぅ!?なんで俺と花森がっ!?意味がわからん!!  ――突然のワードに頭が混乱しまくっているので、状況を簡単に整理してみる。  今日の昼休み、俺と花森を含むいつもと同じメンツで昼飯を食ってたら、花森が『今日俺んち親両方ともいないから誰か遊びに来ないか』って言いだした。でも俺以外の奴らはなにかしら用事があって、行けるのは俺だけだった。  俺と花森は中学も違うし、今年初めて同じクラスになって友達の友達ってノリで知り合ったから、お互いよく知らない部分も多々あって。 でも、俺はずっと花森とサシで喋ってみたいなって思ってた。なかなかその機会には恵まれなかったけど。  そんな矢先に花森の誘い。一気に距離が縮められる絶好の機会だ!しかも泊まってもいいんだと!だから行けるのが俺一人だろうと躊躇もせず、ノコノコ遊びに来たわけだが。 何故俺はいま花森からセックスをしようなどと誘われているんだろうか……。  ――いや待てよ、セックスってもしかして別の意味があるんじゃないのか?俺の知らない別のセックスがあって、花森はそれをしようと言ってるんじゃないのか?  うわ―それなら俺、勘違いして恥ずかしい奴じゃん!でも一応確認しよ!聞くのは一時の恥、聞かぬは一生の恥だもんな! 「なあセックスって、えっちな意味のほうのセックス?」 「そうだけど。他になんか意味あんの?」  俺の知ってる意味の方のセックスだったーッ!!なんだよ!無駄に恥かかせやがって!!  たしかに俺は花森との距離を縮めたいと思っていたけど、身体の距離まで縮めたいとは思ってなかったぞ! いったいどういうことなんだよぉ!!

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