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第1話 1円玉ネックレス
「さぁ、このネックレスをかけるんだ」
そう言われて渡されたのは1円玉が1つぶらさがっているネックレス。だんだん怪しいなと疑ってきたが、報酬をもらっている以上もう後には引けなかった。
古賀久志 は半信半疑で1円玉ネックレスを首にかける。もちろんその軽さから重さを感じることはない。短いスポーツ刈りの髪を掻きむしりながら胸元にある1円玉をつまみ、眺めた。特に熱も違和感も感じない、ただの1円玉だ。
どうやら手渡されたこの1円玉ネックレスは、野獣先輩を惹きつける重要なアイテムらしい。
(本当に来るのか……??)
正直、久志はこれから現れるという野獣先輩のことは全く知らない。SNSのトレンドに上がって、ハッシュタグを飛んだ先には謎の男がずらりと並ぶイメージを持っているだけだ。
ここは久志が住んでいるアパートの一室。狭い1Kで30代の男と高校1年生が一緒にいた。久志はベッドに腰掛け、男の様子をジッと伺っている。
「ごめんね、アイスティーが無くてね。これを飲んで寝てくれるかい?」
部屋の隣にあるキッチンに行って戻ってきた人物は一色敬 。先ほど1円玉ネックレスを渡した人物で自称野獣先輩愛好家と名乗っている怪しい人。
「はい……」
なんでアイスティーじゃないと困るんだろう?よく意味も分からないまま透明なグラスに口をつけ入っている麦茶を飲んだ。
「んっぐ……!!」
(にっが……!!)
1口飲んだだけで吐きそうなほど不味かった。久志はグラスから口を外して飲むのをやめたが敬はそれを許さなかった。久志が持っているグラスを掴み、口に無理矢理押し当てる。
「古賀久志。全部飲まないとダメだろう??」
「ふがっ……!!」
久志は、敬に鼻をつままれ息が出来なくなって大きく口を開けた。謎の液足にむせて溺れそうになりながらも必死に茶色い液体を飲み込む。口端からだらしなく液体が垂れ、腹から着ていた水着にかけてまで濡らした。
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