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第2話 一色敬の野望
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田所高校、水泳部。この部活に所属する学生の間である噂が流れていた。
――水泳部員は、8月10日の真夜中になると『野獣先輩』が現れ襲われる。
その噂を信じて久志に接触をかけてきたのは一色敬という男だった。年齢は30代前半、髪は長髪でメガネをかけている。
敬はある野望を持っていた。それは『野獣先輩』に会うこと。野獣先輩は本名ではなく、某ゲイビデオのタイトルからネット民から名付けられた名前だ。
当時、野獣先輩がビデオに出ていた時は24歳。発売されたのが2001年だから今年で、31歳。だが今現在、消息不明である。
そんなある日、ネットサーフィンが趣味な敬は野獣先輩に会ったという呟きを偶然見つけた。その呟きを辿っていくうちに田所高校、水泳部の情報を手に入れる。
「おいおいおい……マジかよ。そのまんまじゃねぇか」
敬が声を漏らすのも無理はなかった。そのゲイビデオの内容が水泳部の先輩後輩の設定のうえ、野獣先輩の本来の役名が田所先輩だったからだ。もうこれは運命だと感じていた。
その日は、8月1日。すでに10日までのカウントダウンは始まっていて一色は全財産と時間を使って、田所高校水泳部、古賀久志との接触に成功したのだ。
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