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第2話
同じ頃、ハザマの元夫、紫堂はバーの客席にいた。
孤児院出身で血のつながった家族をもうける事が子供の頃からの夢とはいえ…。
「ハア…」実はイイ男の紫堂は盛大な溜息をついた後、きつい酒が入ったグラスに手を伸ばした。
数時間後、バーのカウンターに突っ伏していた紫堂にバーテンダーのコウダイが声をかけた。
「お客さん閉店時間なんで…」
「ん?」
「お客さ…」
「ハザマッ」
泣きながらコウダイに抱きついた紫堂は刹那、その顔を綻ばせた。
「イイ匂い…」
その時、その美貌にひきつった笑顔を浮かべていたコウダイは後日、その顔を綻ばせた。
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