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第23話

「……なぁ、覚えてるか?」 果てたモノを引き抜き、うつ伏せていた僕の身体を軽々とひっくり返す。 上から覗き込む、恍惚とした表情。当たり前のように僕の片足を抱き上げ、硬さを取り戻した自身の怒張を握り込む。 ……え…… 「ドラマの撮影中……こうして、肌を重ね合ったよな」 「……」 「あの時から、……好きなんだよ。 もうずっと……愛おしそうに俺を見つめるアゲハの瞳が、堪らなく頭から離れられないんだ……」 「──!」 ──ズンッ 白濁液で濡れる後孔にその切っ先が宛がわれ、容赦なく捩じ込まれる。 「っ、あ、……ぁああ″っ、!」 ズッズッ、ズッズッ…… 先程よりも激しい抽送。 鋭い快楽が、再び脳幹を貫く。 強い刺激と苦痛に襲われ、ギュッと目を瞑る。アゲハに似た人形()を抱き潰すかのような、この卑劣な行為に堪えながら。 「……アゲハも、俺と同じ気持ちだよな」 「……っ、」 「なぁ、そうだろ?」 上下に揺さぶられながら薄く瞼を持ち上げ、樫井を覗き見る。 その双眸は……何処か焦点が合っていない。 パーティー会場でのキラキラとしたオーラはすっかり消え去り、盛りのついた猿の如く、異様な空気を纏っていた。 「……」 ぶるっと震える身体。 確かに、寒気を感じた筈なのに。それを塗り替えるかのように、肌の表面を快感が走り抜けていく。 「好き、って言えよ」 え…… ……なん、で…… 何で、そんな事……まで…… 「なぁ、アゲハ」 「……ゃ、」 それに答えそうになる口を引き結び、必死で堪える。 もう、これ以上……この人の思い通りになんか……なりたくない…… ズンッ── 「……あっ、ぁああ″っ、……ん……」 なのに。 身体は素直に反応し、ゾクゾクと身体を震わせ……快感を与える樫井に順応してしまう。 「撮影の時は、何度も言ってくれたよな」 「……っん、」 「アゲハ……!」 責めるように、奥深くを抉られる。 何度も、何度も、何度も、何度も── 「……ぃあ……、あ、あぁあぁ″、ああぁ……っ、!」 ……壊れ、る…… 壊され、ちゃう…… 揺れる視界が、涙で滲む。 ぎゅっと強く瞼を閉じれば……溢れたそれが、目尻から伝い零れ落ちる。

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