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第12話
恭平の夏祭りの話を聞く日は
永遠にこなくなった。
あの後母さんと一緒に急いで病院へ向かった。
恭平は…
傷だらけで眠っていた。
「飲酒運転の車にはねられて即死でした…」
医者の言っている事がよくわからない。
ほんの数時間前まで暖かったはずの
恭平の体は冷たくなっていて。
目を真っ赤に腫らした恭平の母さんが
「千夏くん、これ…」
と俺にくれたものは…
「透、明の、花火…?」
それはプラスチックで作られた
花火のペアピンだった。
「千夏くんが花火見られなかったからって…」
泣きながら教えてくれた絢香ちゃん。
その言葉を聞いて俺は大声をあげて泣いた。
最後の夏祭りになるのなら
素直に一緒に行けばよかった。
恭平がいなくなるくらいなら
夏祭りに行くのを止めればよかった。
涙も後悔も止まらなかった。
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