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第6話 恋人
僕と星夜は、毎週末デートを重ねて関係を深めていった。
星夜に会うたびに、僕はどんどんと好きになる。彼は優しく物知りで、いつも僕のことを優先して考えてくれた。そして、始めに言ってた通りに僕をすごく甘やかした。
僕と星夜は八歳離れていて、彼からしたら僕はすごく子供だと思う。ちょっとしたことですぐに拗ねてしまう僕を、彼は決して怒らない。少し困った顔をして、僕を優しく見つめるんだ。そんな星夜の顔を見てるうちに、僕は拗ねたことが恥ずかしくなって、彼にそっと擦り寄る。そうすると、優しく抱きしめてくれた。
星夜と付き合い始めて一ヶ月が過ぎた頃、初めて彼のマンションに泊まることになった。当然、星夜に抱かれることを期待して、僕は部屋に入ってからずっと緊張してぎこちなかった。
だけど、普段は落ち着いて何事もソツなくこなす星夜が、コップにお茶を注ぐ時に零したり、足の小指を棚の角にぶつけたりしている。
彼のそんな姿を見て僕の緊張は解けてしまい、思わずクスクスと笑ってしまった。
「星夜、大丈夫?そんなドジするなんて珍しいね?」
「あー…ごめん。俺、緊張してる…。だって朔が俺の部屋にいるんだぞ?すごく嬉しい」
星夜の言葉に、僕の方が嬉しくなって舞い上がる。
お茶をテーブルに置いて、ソファーに座る僕の隣に来た星夜に、身体をピタリとつけて甘えた。
星夜が僕の肩を抱き寄せて、耳元で囁く。
「朔…好きだよ。今すぐ朔に触れたい…。いい?」
「うん…いいよ。僕も早く星夜に触れられたい…」
「朔…可愛い朔…」
ゆっくりと唇を重ねて、お互いの舌を絡め合う。星夜とのキスはとても気持ちよくて、僕はいつもトロトロに蕩けて何も考えられなくなる。
いつものように口内に流れ込んできた唾液をコクリと飲んで熱い息を漏らしていると、エアコンで冷えた僕の肌に、温かい大きな手が触れた。スルリと地肌を滑る手に、僕の背中が震える。
「あ…んっ、ま、待ってっ。僕、先にシャワー浴びたいっ。いい?」
「ふっ、わかった。行っておいで。それとも一緒に入る?」
「だ、だめっ。すぐに出るから待ってて」
「わかったよ」
ついて来ようとする星夜を制して、反応してきた前を隠すように、僕は慌ててリビングを出て行った。
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