1 / 4
第1話
俺の名前は甘崎 朋也 。
二十二歳、フリーター。
レベルそこそこの私立大学を卒業したけど、就活に失敗して、そのままフリーターの道を爆進中。
まぁ昔から、これといってなりたいもんとかなかったし、バイト三昧でろくに大学行ってなかったし、当然の結果だろーけど。
ちなみにそのバイトってのも、全部学費のため。学費のためにバイトして、肝心の講義の時はいつも眠くて、何言ってっか分かんなくて、ほんと俺の大学時代マジなんだったんだろ?
あ、ちなみに俺はゲイ。
高三の頃、出会い系使って知り合ったエリートリーマンとカーセックスしてたら(俺が挿れてた)、近所の人に見つかって、あっという間に俺の秘密はバレちまった。
そのせいで親からは勘当されるし、地元の友達には気持ち悪がられるしでもう最悪だったけど、東京の私大に受かってたから、そのまま家を飛び出して来たってわけ。
田舎ではそんなこともあったけど、やっぱ都会は居心地いーよな! ゲイのための出会いの場所も多いし、ゲイだってバラしても普通に接してくれる人もいっぱいいるし! まー、大学ではさすがにカミングアウトしてなかったけど、こんな俺を受け入れてくれる場所がたくさんあるから、都会の生活ほんと最高!
それに俺、今は可愛い恋人がいるんだ。
恋人の祇園 永斗 と知り合ったのは、バイト先のコンビニだった。
あいつは深夜のコンビニの常連客で、いつも決まったメーカーの缶コーヒーと野菜サラダを買っていく。田舎じゃ見たことないくらいの美形で、年齢もいまいち不詳。身長は170あるかないかくらい、細身で、茶色い髪の毛はふわっとして柔らかそうで、色白で……って、もうまじモロタイプ。
仲良くなりてーなぁと思って、シフト入ってない日に客としてコンビニ行って、俺は永斗をナンパした。
そんでそれが見事成功!! しかも見立て通り永斗はネコ!! 俺はそっこー永斗を自分ちに連れて帰って、その日のうちにエッチした。
身体の相性もバツグンだった。
永斗はセックスに積極的だし、敏感だし、エロいしで、もう最強に俺好み。こんな美人、ぜってー誰にも渡せねぇと思って、俺はすぐに永斗に告ったんだ。
『俺、お前のこと好きになっちゃった。俺以外の男と、ぜってーエッチすんなよ?』って、ガツガツ突きまくりながら言い聞かせたら、永斗はイキまくりながら「しない、ともやくんいがいの、おとことえっちしない……ぁ、ん、とまんなぃ、いっちゃう、またいっちゃうぅっ……!!」って可愛く俺に約束してくれた。
事後に素性を聞いてみると、永斗はまだ十九歳で、俺なんかとは頭の出来のレベルが違う、国立大の二年生だった。
そんな奴がどうして深夜の繁華街をウロウロしてんのかって?
なんと永斗は、俺のバイト先の近くで営業してる『テレホンセックス専門店』のスタッフをやってるらしい。電話で変態どもに可愛い喘ぎ声を聞かせるっていう、あやしいバイトだ。
永斗のエロボイスを変態オヤジどもに聞かせるのはめちゃくちゃ嫌だったけど、『実家が貧乏だから、時給のいいこのバイトだけはやめられないんだ』と涙ながらに訴えられたら、もう反対なんてできねーじゃん? 可愛い顔で泣きながらそんなこと言われたら……何も言えねーだろ。うん……だって永斗、頑張ってんだもん。
そんなこんなで、俺たちは幸せな恋人生活を送り始めた。付き合い出してそろそろ三ヶ月。
『ゲイの付き合いなんて、そんな長くもたないわよぉ』なんて、ゲイバーのマスターには言われちゃったけど、俺たちなら大丈夫! 永斗は真面目だし、頑張り屋だし、エロいし、甘えてくれるの超可愛いし、もう最高の恋人だ。
+
「ぁ、あん、ぁっ、ともやくん、ぁぅ、ンっ、」
「ほら……イケよ……! 俺のチンポ、気持ちいだろ。ほら……っ、イけっ! イキまくれっ!!」
「ぁあ! ああ、ンん、んーーーっ……!」
仕上げとばかりに、俺は永斗の最奥を突き上げてやった。すると永斗はきゅうきゅうと俺のチンポを締め付けながら、ぶるぶると全身を震えさせながら中イキした。これでもう何回目か分かんねーけど、永斗のアナルはぬるとろで、締まりが良くてめちゃくちゃ熱くて、もうマジで気持ちいいんだ。一回挿れたらもう止まんなくなっちゃって、ついつい俺もやりすぎちゃうんだよなぁ。
でも永斗は可愛いから、気絶するような激しいことなんてしない。高校時代にエッチしてたリーマンには、高校時代の有り余る性欲ぶつけまくって、ヤるたびに気絶させたけど、永斗にはそんなことしないように気をつけてんだ。
健気に頑張って、やりたくもねーバイトして、眠いの我慢して大学で勉強してる永斗のこと、俺は心から応援してるからな!
まぁでも……あんまりにも可愛く乱れてくれちゃうから、ついついS心をくすぐられるわけだけど。……まぁ永斗もそういうの喜んでくれるし、こーいうのもたまにはおっけーでしょ。
「もっと欲しいのかよ? 永斗のケツマンコ、俺のちんぽ咥えて離さねーんだけど」
「ぁ……ん、ほしぃよお……ねぇ、もっとして……! 朋也くんのちんぽ、だいしゅき……だから」
「へへ……まじかわいい。どーしよっかなぁ、俺、そろそろ腰疲れてきたしなぁ」
「じゃ、俺が……上に乗るからぁ……。がんばるから……朋也くんのこと、気持ちよくするからっ……」
「ったく。しょーがねーな永斗は。ほんっとエッチだね、まじ最高」
「あ、ぁん……!」
美人顔をとろとろ可愛くとろけさせて、永斗は俺の上でへこへこ腰を振るんだけど、こんなんじゃ俺、全然たりねーし。
というわけで、俺は永斗の腰をぐっとつかんで、ガツガツ下から突き上げてやった。そしたら永斗は「ぁ! ぁん! 朋也くん、ぁ、あ! きもちぃい、あぁん、んっぁ!!」と大喜びだ。
最高に気持ちよくて楽しいエッチで、俺もすっかり満足感。
今の生活、もうまじ幸せ!
+
そんなある日のこと。
「あれ……? おっかしーな」
――変だな……コンドームの数、足りなくね?
おかしい……俺、昨日新品三箱買っといたよな。光るやつと、つぶつぶついてるやつと、『ナマ感極まる、ごく薄手』ってやつと……。
永斗とのエッチしてると一回がめちゃくちゃ長くなるから、けっこーゴム使うんだ。だから毎回ゴムのストックは切らせねーようにしてんだけど。さすがにちょっと減りすぎじゃね? だって俺、つぶつぶのやつ開けた覚えねーし。覚えねーのに、残りあと一個とかどういうことだよ!?
「まさか……な」
ふと、俺の中に黒い疑惑が湧いた。
――もしかして浮気……とか……?
俺がバイトしてる間に、俺の部屋に男連れ込んで、エロいことしてる……とか? い、いやいやいや、そんなわけねー。永斗は俺にメロメロだし。俺のこと大好きっていっつも言ってくれてるし、あんなかわいい顔で嘘なんかつくわけねーし。
でも、気になりだすと止まらない。俺はそわそわ部屋の中を歩き回って、あーだこーだと考え事をした。でも考えたって何の答えも出るわけないし、永斗のことを疑いたくないしで、もう頭の中はぐちゃぐちゃだ。
そして俺はついにその場に立ち止まり、「あーーー!! もーーー!!」と喚いた。
俺は、決意した。
すぐさまソッコー電気屋行って、録画できるタイプの小型監視カメラを買ってきた。
そして、ベッドが横からバッチリ監視できる位置にさりげなくセットして……。
――う、浮気なんてしてるわけねー……でも。念のため、確認するため……そう、確認、確認だ……。
ぱんぱん、とカメラに向かって合掌し、俺はそのままバイトへと向かった。
ともだちにシェアしよう!