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第2話
そしてその次の日の朝、俺は何食わぬ顔をして、永斗を大学へと送り出した。
結局昨日も、バイトから帰ってくると永斗がいて、エッチしようって誘われたんだ。けど、こっちは気が立ってるし落ち着かねーしで、「疲れてるから」って断った。
だってそーだろ。
こんな無垢な顔して、恋人の家に男連れ込んでエッチしまくってるかもしんねーんだぞ?
これから見る映像には、恋人の浮気現場が映ってるかもしれねーんだぞ……!?
俺はごくりと固唾を飲み、例の小型カメラをテレビにつないだ。データがテレビに送られる間、俺の心臓はばくばくばくばくとうるさいくらいに暴れまわっていて、手からは冷たい汗がじわっと湧いて……。
――大丈夫、大丈夫……。きっと、永斗がアナニーとかしてんだよ。俺とちょっとでも会えなかったら寂しくなって、ここでアナニーとかしてたんだ。ゴムはきっと、ディルドとか指とかに嵌めて使ってたんだ。きっとここに映ってるのは、永斗のかわいいアナニーショー……。
パッと画面が切り替わり、普段の俺の部屋の風景がテレビの中いっぱいに広がった。
誰もいない時間をスキップしながら映像を見ていると、何ごとも起こらないまま、昨日俺と永斗がここで過ごしていた光景が画面に映り、何ごともなく就寝……。
――うーん、もっと長期間録画しなきゃダメか……。
と、そんなことを考えていると……むくり、とベッドの上で誰かが起き上がった。基本的にベッドサイドのスタンドはいつも点いてるから、誰が何してるかくらいははっきりと見て取れる。
――ん? 永斗が起きた。
まさか俺が寝てる隣で、毎晩アナニーしてたのか!? と俺は愕然とした。俺がエッチを拒んだから、さみしくなってアナニーしちゃったのか!? なんそれかわいい!!
と、俺はがばりと身を乗り出して、テレビの中を覗き込む。
永斗は俺の上に覆いかぶさると、慣れた調子でちゅ、ちゅっとキスを始めた。さぁえっちなアナニーショーのはじまりかと、俺はワクテカしながら待っていた。股間を膨らませ、それをおかずにオナニーしようとティッシュのポジションを整えたりしていたら……。
――ん?
永斗がぺらりと、俺のTシャツをめくりあげた。そして、俺の乳首をぺろ、ぺろ……と舐め始める。俺は目をぱちぱちしながら永斗の動きをじっと見つめた。
『ぁ……ふ……ん』
『朋也くん……今日もぐっすり寝ちゃってるね。おっぱい舐められて乳首硬くしてるくせに』
『ぁ……は……っ……』
――んんんん!!??
この甘ったるい声は何だ!? 俺!? 俺の喘ぎ声!? えっ、どうして?! なんだこれ!? 俺はパニックになりながらも画面をガン見した。
『一回寝たら起きないんだもんね。……ふふっ、今日はエッチしてくれなかったから。いつもより激しいことしちゃおっかなぁ……』
『ぁ、あん、……ふぅっ……』
画面の中で、永斗は俺の乳首を舐めながら、もう片方の乳首を指で弾いたりつまんだり……え? なんこれ、手馴れすぎじゃね!? どういうことだよ、永斗のやつ、ひょっとして俺が寝た後に俺のちんぽ勃たせて、一人エッチしてたとかそういうこと……!!??
それはそれでエロいもんが見られるぜ……! と、俺は鼻息を荒くしながら画面を見つめていた。すると永斗は乳首攻めをやめて、するりと俺のスエットとパンツを脱がせてしまう。乳首を舐められただけなのに俺のちんぽ、がっつり上向いてる。それがなんとなく衝撃的で、俺は思わず自分の乳首を触ってみた。すると……。
「ぁ、あンっ……♡ …………えっ?」
触った瞬間全身を駆け巡る甘い痺れ…………って、え? なんで!? なんでこんなに気持ちいいの!? こんなことってあるか? 俺、今まで乳首なんていじられたことないのに!?
さらに愕然としつつも、画面の中の永斗から目が離せない。
永斗は舌を伸ばして、れろれろといやらしく俺の乳首を舐めながら、チェストに手を伸ばしてゴムとローションを取った。つい永斗のアナニーショーの始まりか!! と、俺は身を乗り出した……!!
「ん?」
永斗がズボンを脱ぐ瞬間を今か今かと心待ちにしていたというのに、永斗は俺の両脚を開脚させて、あろうことか脚の間に手を……。
「ええええええ!!??」
『ァッ……あ、ん……』
『朋也くんすごいね……。すんなり飲み込むようになった、上手だよ』
『ん、んふぅ……ぁ、あぁん、ん……』
『エッチな声、かわいい。攻めてる時の朋也くんもかわいいんだけど、最近ちょっとエッチが雑だよ? 俺がちゃんと教えてあげるから、ね?』
『ぁ、あんっ……ふぅ、ひぁ……』
『エッチなお汁が溢れてきたね。……朋也くん、ここ好きなんだよね。どんどん柔らかくなって、ひくひくして……ふふっ』
耳を疑うようなエロい音が、俺の尻のへんから漏れている。
耳を疑うようなエロい声も、俺の口から……。
「うわぁあああああ!! なんじゃこりゃぁあああ!!」
『ねぇ聞こえる? このエッチな音、朋也くんの下のお口から聞こえるんだよ? ……あはっ、気持ちよそうだね、こんなに腰振って』
『う、ぁ……ッ、あんんんっ……!』
『ふふっ、朋也くん、すぐイっちゃうんだから……女の子みたいだね、かわいいよ』
永斗はぬらぬらとエロいぬめりをまとった指を抜き、それをティッシュで拭いながらニヤリと笑った。その笑みは、俺が今までに見たことないくらい雄々しい攻め顔で……。
「おいおいおい……うそだろ……? 俺の永斗が、あのかわいい天使のような永斗が……」
わなわなしながら頭を抱えて、俺はふと気がついた。
――あれっ、勃ってんじゃん、俺……。
自分が永斗に攻められてる映像だってのに、俺、しっかり興奮してる……しかも、なんか、尻の穴、ムズムズしてきてる……っ。
『もう挿れるね? 朋也くんの感じてる顔見てたら、我慢できなくなってきちゃった……はぁ……はぁ』
そう囁きながらズボンを脱いだ永斗のちんこは、今までに見たことがないくらい猛々しく脈打っている。
なんか……気のせいかもだけど……俺のよりデカイ気もしなくもない……いやいやいや、そんなわけあるか! だってエッチの時の永斗のチンポだって、しっかり勃ってはいる……勃ってた……っけ?
――俺、エッチの時、永斗のことちゃんと見てねぇのかも……。
『あぁ、今度は起きてる時に抱きたい……。でも朋也くん、けっこうプライド高いからなぁ。まぁ、そんな朋也くんがどんな顔で俺に抱かれるのかって想像したら……ハァ……っ、挿れるよ……!』
『ひぁァっ……んんんっ……!』
『ふふっ、挿れるだけでイっちゃうんだもん。ほんとに、かわいい、かわいいよ……朋也くんとこうしたくて、俺、ずっとコンビニ通ってたんだ……はあ、夢みたい……』
『アッ、あん! ぁ、ぁぅ、ひぁ、アぁん!』
『好きだよ、すきっ、朋也くん、大好き……っ、はぁッ、きもちいぃ、きもちいいよ、はぁッ……!』
――誰かうそだと言ってくれ……!!
永斗に突っ込まれて、俺はアンアン鳴いている。しかもめっちゃくちゃ気持ち良さそうな声で、腰振りながらよだれ垂らして……。
「あ……あれっ、からだ、変だ……」
永斗にずこばこ突きまくられてる自分を見てたら、だんだん俺の身体……熱くなってきた。尻の奥がじんじん熱くて、物欲しくて、切なくて、俺はオナニーしようと思ってずらしてたズボンを脱ぎ捨てて、尻穴のほうに指を……。
「ひぃあッ……」
――き、きもちいぃ…………だと…………!!?
てっきり硬く閉じてるもんだと思ってた俺の尻は、びっくりするくらい柔らかくほぐれている。しかも指で撫でるたびにヒクッ、ヒクッとうごめいて、中へ誘うような動きをしてて……。
――寝てる間に、か、開発されていた……!!
『朋也くん、ネコのほうが絶対向いてるよ……! ナカ、気持ちいいでしょ? イキまくりだもん。俺の下手な演技とは全然違う……っ、ホンモノのメスイキだもんね……! ぁ、ハァ……っ、イキそ……!』
「演技だったのかよ!!」
思わず映像にツッコミつつも、アナルいじりがとまらない。俺は四つん這いになってはぁはぁいいながら、永斗に抱かれる自分を見つめた。
『はぁ……イっちゃった、ごめんね。すぐ、また挿れてあげるから』
『あふぅ……ン……』
永斗はテキパキとゴムを外し(ザーメンたっぷりのやつ……)、また新しいものを素早くつける。なるほど、それでゴムの数が合わなかったってことか……。
しかも永斗のちんぽは、イッたあとでもすぐ復活してるし、また雄々しく反り返ってて、すげぇ迫力……。
『ほら、今度は後ろからだよ。お尻だけあげてね? ……ぁあ、最高……朋也くん、こんなに小さい穴なのに、俺のちんぽ簡単に飲み込んじゃうんだもん、すごいよ……ハァっ……』
『んぁ、ぁ! んふぅ、ァ、あん!』
「うわ、エロ……やべ、なにこれ……」
寝バックの状態で、ひときわ激しくピストンされながら、俺はシーツにしがみついて甘ったるく鳴いている。今映像を見てる俺のアナルも、もうどうしようもないくらい熱く熟れてて……やべぇ、なんか欲しくなってきちゃった……どーしよこれ、なんか、なんでもいいから挿れたい……! ナカ、擦られたいよぉ……!
「……朋也くん、気付いちゃったんだね」
「うおおおおお!!??」
不意に後ろから声をかけられて、俺は派手に仰天した。バッと振り返ると、色っぽい唇を吊り上げてクールな笑みを浮かべる永斗が、コンビニの袋片手に立っていた。
「ゴム、買い足しとかなきゃと思って来てみれば……まさか撮られてたなんて」
「え、永斗っ……お前、これっ……! バリネコじゃなかったのかよ!!」
「俺は両刀なんだ。でも、朋也くんには一目惚れだったから、なかなか言い出せなくて」
「永斗……」
永斗はちょっと苦笑して、コンビニの袋をゆっくりと床に置いた。
「朋也くんて眠りが深いよね。最初はさ、エッチなことしてる最中に起きると思って、ドキドキしてたんだ。朋也くんが起きちゃったら、その時にちゃんと話そうと思ってたけど、全然起きないし。それにめちゃくちゃ気持ち良さそうだから、俺もやめられなくなっちゃった。ごめんね」
「い、いや……それはいーんだけど……。俺のエッチ、あんましだった? お前ずっと、演技してたの?」
「ううん、そんなことない。朋也くんに挿れられるのは好きだよ。でも、抱きたい気持ちの方が大きくて、もどかしくてさ」
「そーなんだ……」
「ごめんね。……もう、嫌いになったよね、俺のこと」
永斗は寂しげな声でそう言って、微笑む。
ありえねーことされてたわけだけど、永斗のそんな顔見てたら、どうしたって怒れるような気分じゃない。
俺はズボンをずり上げて、永斗の方へ歩み寄った。
「嫌いになんてなれーよ。怒りたい気持ちとかも全然わいてこねーし、今も永斗のことを好きだと思うし……」
「朋也くん……」
「お、お前がそんなに挿れたいってんなら、俺は……それでもいいっていうか」
「ほ、ほんと!?」
永斗の顔が、ぱぁぁぁっと輝く。そのあまりの可愛さに、俺は思わずにやけてしまった。
すると永斗は俺の手を両手で握り、うるうるキラキラした目で俺を見つめた。そして、にっこりと、最高に可愛い笑顔を浮かべる。
「じゃあ今から、朋也くんを抱かせて! もう慣れてるとは思うけど、起きてる時にするのは初めてだし、優しくするから」
「……お、おう……頼むわ」
永斗は幸せそうに微笑み、俺に優しいキスをした。そしてびっくりするほど巧みな動きで、俺をふわりとベッドに押し倒す。
永斗の愛撫は丁寧で、とろけるように気持ちよくて……。
そして俺は、晴れてネコの扉を開け放ったのだった。
◇永斗目線の続きを、21時に更新します( ´ ▽ ` )ノ よろしければのぞいてみてやってくださいませ!
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