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「…何だろ、なんかこの辺が……」
そう言って胸元を掻き回す仕草をした
それを横目に、僕は椅子に座る
暑い日が続いたからか
体育の授業がプールになる
男子がやけに騒がしくなり
女子はそわそわと落ち着かない様子だった
更衣室に入り、ロッカー前で汗を吸ったシャツを脱ぐ
解放され肌が空気に触れると
少しだけ不快感が収まった
「……えっろ…」
いつか聞いたことのある台詞
僕は後ろを振り返った
しかし、やはりこちらを気に止める人は見当たらない
「……」
更衣室を出てプールサイドへと向かう
そこには何人か男女が固まってお喋りをしていた
「こっち集合!」
体育教師が水着姿で現れる
その胸板の厚さと腕の太さ
そして日焼けした肌に
男性を意識した女子が悲鳴を上げ、引いたように避ける
整列すると、体育教師は僕をじろじろと見た
「今日はプール初日だから
各自自由に、泳いだり潜ったり歩いたり、…何でもいいので人にぶつからないように気を付けて、水に慣れる様にして下さい
…じゃあ、準備運動始めるぞ!」
そう言い終わると、ラジオ体操が始まる
そして、それも終わると
歓喜を上げながらクラスメイトが次々にプールに入っていった
「……工藤」
プールサイドに残った僕に、体育教師が近付く
「どうした?」
教師らしい顔をしようとしているようだけど
その顔は少しニヤついていた
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