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女王1
白を基調としたシンプルな作りの部屋
セミダブルのベッドが主張し、部屋の半分も陣取っている
「…まぁまぁだな」
気を紛らすように父が言う
Tシャツ一枚で放り出された僕は
行き場もないまま、シャツの裾を伸ばして身を隠していた
とにかく母が寝さえすれば
後は達哉に助けて貰おう…
そう思っていた
「…若葉?」
そこを、たまたま父が帰ってきたのだ
父は僕の異変に気付き、だけど事情を聞かないままタクシーを拾い、途中コンビニに寄って必要な物を買い揃え
こうしてビジネスホテルに連れてきてくれたのだ
「とりあえず、シャワーでも浴びてこい」
「………」
促された僕は、シャワーを借りる
先程まで感じた温もりまで消えてしまいそうで、躊躇もしたが、今はとにかくサッパリしたかった
…達哉
鎖骨に触れる
そして、その下の小さな突起へと指を滑らせた
「…んっ」
達哉にされたと思えば、容易く感じてしまう……
「………」
ドアの前に、小さな僕がいる
ニコッと笑って、『お父さん』と言いながらドアをすり抜けていった
脱衣所に行き、簡単に体を拭くと鏡を見る
「………」
そこには、しっとりと濡れた髪に、物欲しげな唇がうつし出されていた
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