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あれ、いきなりそんな……?
不意討ちのモード変更……?
アウターを脱いだ比良による熱烈なバックハグに柚木は頬を火照らせる。
まだ日の高い夕方の窓辺。
スタンドカラーのジップアップジャケットを着込む細身の体に、パーカーの下で男らしく筋張った両腕がしっかり絡みついた。
「早く柚木を部屋に呼びたくて急いで片付けたんだ」
耳元でそんなことを囁かれて。
髪に頬擦りされて。
柚木の脳天は今にもグツグツと煮え滾りそうになる。
「そ、そうなんだ……家具とか内装とか、かっこよくて、比良くんにめちゃくちゃ合ってると思う」
「そうか? 全部、自分で選んだ」
……耳がくすぐったい。
……比良くんの囁きボイスを独り占めしてるなんて、なんて贅沢なんだろう、おれの鼓膜。
「柚木にそう言ってもらえるの、嬉しい」
……おれの耳ちゃんとカタチ留めてる? 溶けてない?
「比良くん、あの……」
「うん?」
おずおずと振り返れば凛々しく整った顔立ちが視界をモロに直撃し、耐えられない柚木は咄嗟に俯いた。
「じ、実はさ……アレ、なくなったんだ……いつの間にか消えちゃった」
なんだかもういろいろ耐えられなくなって、つい、嘘をついた。
「消えたのか?」
「うん、ないない、どっかいっちゃった(?)、だからもう気にしなくていいよ、って……ちょ、っと……ひ……比良くん……」
柚木は閉口した。
唐突に股座に届いた比良の手。
的確に探り当てられたアソコをカーゴパンツ越しに指先でカリカリ引っ掻かれた。
「柚木の、ココにあったよな。本当になくなったのか?」
「な……なくなりました」
「本当に?」
強めにカリカリされて柚木は堪らず「んっ」と声を出してしまう。
「……今、なんで声出したんだ?」
「……比良くんがさわるから」
「ココには何もないんだろ?」
「あ、っ、っ……ソコ、そんなカリカリしないで……」
最早、反応でモロバレだ。
股間に差し込まれた手、長い指にしつこくなぞられて柚木は口をパクパクさせ、レースカーテンをぎゅっと握りしめた。
「柚木のうそつき」
嘘をつかれた比良は特に怒っている様子もなく。
新品のレースカーテンをぎゅうぎゅう引っ張って僅かに震えている柚木に笑みを溢れさせた。
「どうして嘘なんかついたんだ……?」
「だって……はずかし……身体検査とか、もういい、必要ないよ……」
身を捩じらせて自分の手を退かそうとしている柚木に陶酔した眼差しで問いかける。
「もしかして、柚木、自分で触ったりしたか?」
図星な柚木は唇を見事なへの字に曲げた。
「最初は怖くて触れなかった、そう言ってたな。でも。卒業旅行から今日までの間、自分でチェックしてみたことあるんじゃないのか?」
「う〜〜……」
「なぁ、柚木……?」
比良に優しく畳みかけられた柚木は、コクリ、簡単にボキリと折れて頷いた。
「ふぅん」
狙いを外さない中指が、ゆっくり、亀裂の上を行き来した。
厚い服越しでも下半身にジン……と響く不埒な悪戯だった。
「どんな風に触った?」
「いっ……言えない、そんなこと……」
……どうして比良くんにオナニーの報告しなきゃいけないんだ……。
「ただ触るだけじゃ物足りないよな」
「もう帰る……」
「指、挿入れた?」
「っ……おれ、帰る」
「何本? 三本?」
「まさかっ、そんなん裂け……っ……あ……」
「ふぅん。じゃあ二本?」
「っ……っ……い……一本だけ……」
「ふぅん」
カリカリカリカリカリカリ
会話の間もずっとやんわり引っ掻かれっぱなし。
些細な愛撫に瞬く間に体中熱くなって柚木は苦しげにため息をつく。
「どこまで挿入れてみた? 奥まで挿入れた? 柚木、ココだけでいったのか……?」
どうしよ。
濡れる。
比良くんにカリカリされて、トーン低めの声で囁かれて、それだけですごく感じる……。
「柚木、今、もしかして濡れてる……?」
柚木は思いっきり眉根を寄せた。
震える双眸にみるみる涙を溜め、肩越しに、すぐ背後に迫る比良をおっかなびっくり睨んだ。
「ひ……比良くんの……すけべ……」
「……そうだよ? この間言っただろ? 俺、えろいんだって」
「っ……開き直んなぁ……大体っ……卒業旅行であんなこと、されて……そのせいで……思い出したらムズムズして、だから、おれ……仕方なく……自分で……」
アソコが熱い。
ジンジンする。
チンコも勃ってる。
頭クラクラする。
「おれが、こんななったの……すぐ濡れちゃうの……ぜんぶ比良くんのせい……」
本音を口走った次の瞬間。
柚木の履くカーゴパンツのファスナーが下ろされた。
「あ」
今度はぱんつ越しにペニスを撫でられて。
すでにジュクジュクと滴って湿り気を帯びたところまでやんわり撫で上げられた。
「あ、ぅ」
「本当だ。濡れてる」
「っ……いちいち、言わなくたって……っ、っ、っ……!」
ぷっくりと膨れていたクリトリスを指腹で小刻みに擽られた。
「っ、比良くん……」
「コレがこんなに硬くなるのも俺のせい?」
「や……だ……って、ば……」
……そもそも、ここ、窓際なんですけど。
……外から見られたら余裕で死ねる。
……それなのにきもちよすぎてここから動けない……。
「ぁ」
ぱんつの内側に前後から潜り込んできた両手。
すでに愛液でふやけそうになっているアソコに指を捻じ込まれて。
硬く膨れ勃ったクリトリスをムニ、ムニ、コリ、コリ、捏ね操られた。
柚木は新品のレースカーテンを引き千切る勢いで力任せに掴んだ。
ぱんつの中でヤラシク動く比良の両手に全身をピクピクさせた。
「柚木のナカ、やっぱりとろとろに熱い……俺の指と自分の指、どっちがイイ……? どっちが柚木のこと気持ちよくしてやれる……?」
あ、だめだ……。
ほんときもちいい……。
脳みそまでとろとろになる……。
「比良、くんの、指……」
じっとり熱もつアソコのナカで中指の第二関節から先がクイクイと悩ましげに蠢いた。
背筋がゾクゾクするような甘狂おしい刺激に、柚木は、声も上げられずに達した。
自分自身を貫く比良の指を大事そうにキュゥゥゥッと締めつけ、童貞ペニスまで過剰にピクンピクンさせ、最初の絶頂にハマった。
「っ……っ……っ……っ……!?」
溢れ出る愛液で自身の指がさらに濡れそぼち、比良は、細やかな収縮を繰り返すナカに二本目の指を。
絶頂中の柚木のアソコを中指と薬指でねっとり掻き回した。
「ぁぁ、ぁ……っ……っ……ふぅ、ぅ、ぅ、ぅ……っ」
同時にクリトリスをコスコスコスコスされる。
甲斐甲斐しく続けられる指の戯れに絶頂が長引き、理性がノックダウン気味の柚木はレースカーテンにかじりついた。
「……柚木、カーテン食べてるのか?」
「ん、ん、ん……ん……っ」
「可愛い……」
新品の家具がヨダレでべしょべしょになっていくのを住人の比良は微笑ましそうに見つめている。
こちらはとっくに理性がログアウトしているようだ。
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