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38-4
特に変わった趣向もないシンプルな部屋。
室内のほぼ半分を占める特大ベッド。
「うわ、ぁ……ぬるぬるしてるの、なんか変……っ」
Uネックのネイビー色ニットを大胆に捲り上げられ、ご開帳を強いられた柚木は太腿をプルプルさせて泣き言を洩らした。
すぐそばで添い寝するように横になった比良。
その利き手は柚木の股間に迷いもなく伸ばされて、すでに半勃ちの童貞ペニス、ひょんなことから授かったアソコは素通りして。
まだ純潔を保ち中のお尻の穴へまっしぐら。
ラブホ備え付けの使い捨てローションでぬるぬるにした中指と人差し指をちっちゃな後孔に捻じ込んでいた。
「比良くん、って、ばぁ……っ」
腕枕されていた柚木は、ヌチヌチ、グチュグチュ、執拗にお尻ばかり攻め立てられて比良のトレーナーに顔を埋めた。
指を挿入されたことはこれまでにあった。
中指だけ。
二本同時に挿入 れらるのは初めて。
ローション使用も初めて。
お尻内でやたらぬるぬるぬるぬる蠢く指先に勝手に涙が溢れ出た。
「お尻、変になる……むり……っ」
柚木の涙声に絆されてやめるどころか。
比良は声を立てずに笑った。
「柚木、最初の頃と反応が大分違う」
「ふぇ……?」
「最初は本気で痛がってたけど、今は、そんなに痛くないんじゃないか?」
お腹側のコリコリとした前立腺界隈を、グリ、グリ、指腹で小突かれた。
「うーーーーー……っっ……やだ、痛い……っ」
「痛いって、どの辺が? この辺か……?」
「あっっっ……そこ、だめ、変……」
「この辺り……?」
「んっ、んっ、んっ……すごぃ、ムズムズして……っ」
コリコリする箇所をグリグリ、グリグリ、グリグリグリグリ、連続して小突かれてヒィヒィしている柚木に比良は密やかに笑みを深める。
「柚木、本当は気持ちいいんじゃないのか?」
耳元で紡がれる比良の囁きが媚薬みたいに全身に染み渡っていく。
「柚木のが次から次に溢れて俺の指まで濡らすから、ローション、必要なかったかもしれない」
比良の言う通りだった。
柚木のアソコからは独りでに愛液が溢れ出、お尻の穴を突っつく指の付け根にまで滴っていた。
「今日はそこまで構ってあげれていないのに、もう、洪水みたいになってる」
「ふ、ぅ、ぅ……っ……そーいうこと言うの禁止……っ」
「どうして? 本当のことなのに。恥ずかしい?」
トレーナーに顔を埋めたまま柚木はコクコク頷いた。
腕枕している方の手で頭を撫で、お尻のナカで歪に指を動かして、比良は問いかけた。
「柚木は合コンに二回も行ったんだ?」
……またその話かよぉぉ……。
「楽しかったか?」
「っ……おれ、言ったよね? 前回のも人数合わせで呼ばれたって……」
「楽しかったか?」
「ひ、ぃ、ぃ、んっ……グリグリやだっ……やだやだやだやだ……っ」
腕捲りされたトレーナーに顔を擦りつけ、無意識にヨダレまですりつけている柚木に比良はそっとため息をつく。
「俺が合コンに行ったら柚木はどう思う?」
「ふぇぇ……?」
「それ以前に。俺が合コンに行くことを許せるか?」
ずっとナカに居座っている比良の指にしつこく後孔を掻き回され、もどかしいむず痒さに下半身を悶々とさせていた柚木はパチパチ瞬きした。
「……比良くんの好きにしてもらっていい……」
ため息まじりの回答に僅かに引き攣ったパーフェクト男子の双眸。
「おれに比良くんを止める権利なんてない……比良くんは、みんなに好かれてる、みんなの比良くんだから……おれが許す、許さないとか、関係ない……」
どうしても謙 ってしまう、比良に対し常に下から目線の柚木がそう言えば。
「柚木にとって俺はその程度の存在ってことか」
弓道の繊細な<手の内>を習得している指、その三本目が半ば強引に後孔へ追加して捻じ込まれた。
さらにお尻の穴を拡げられて柚木は目を見開かせる。
悶絶拡張、強まる刺激、危うい快感が増すに増して腰がビクビク跳ねた。
ローションを糸引かせて指を出し挿 れされると、もっとビクビク、した。
みるみる加速し、ブッチュブッチュ音立たせて指ピストンされると堪えきれずに、ビックンビックン、した。
「やめっ、らめっ、やだーーーーーー……!!!!」
とうとう絶叫した。
大粒の涙をぼろぼろ零して比良にしがみついた。
「やだやだやだやだやだやだやだやだやだ!!!!」
「……柚木」
「ふぇぇっ、やだ~~……っ……こわぃぃ……っ……お尻壊れるっ……やだぁ……うぇぇ~〜……っ」
涙やらヨダレやら、鼻水までトレーナーにくっつけてイヤイヤする柚木に比良は指姦を中断した。
慎重に指を引き抜くと自尊心も忘れてぎゃんぎゃん愚図る駄々っ子柚木を抱きしめた。
「ごめん、もうしない」
「ううぅううぅぅう~~……っ」
「勢い任せでこんなことしたら駄目だな、怖がらせてごめん」
違う。
悪いのはおれ。
こんなこと思うの、ほんっとう、烏滸 がましいけれど。
比良くんのこと傷つけたおれが全部悪い。
「比良くん、おれこそごめん……ごめんなさい……」
「……比良くん、トレーナー汚してほんとごめんなさい……」
悲惨な状態になった比良のトレーナーを目の当たりにして柚木は切腹したくなった。
「気にしなくていい」
完全には消火されていない、悪感情がまだほんのり燻る双眸に見つめられると胸の奥がざわざわして。
すでに服越しに昂ぶっている彼自身に気がつくと体の奥底がきゅんきゅん疼いた。
「……比良くん、あのさ……」
いつにもまして強引な真似に走らせた非礼の詫びも込めて。
彼のことを想っている証を何よりも示したくて。
柚木はおっかなびっくり「それ」を提案してみた……。
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