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「………せん、せ……い……。」
「俺も、今、好きって気持ちになったんだけど…だめかな?」
先生は、申し訳なさそうな顔で笑う。
そんなの。
「だ、めじゃ……ないです。」
ダメなわけない。
先生が好きって言ってくれた。
キス、してくれた。
今だって、ずっと触れている。
僕にとっては夢のような現実。
「月宮ってさ、可愛いしキレーな顔してっし…つーか可愛いし。」
フワッと浮遊感。
「うわっ⁉︎」
僕は先生に持ち上げられた。
ストンと降ろされたのは先生の膝の上。
「俺みたいなフツーのおっさんのドコが好きなの?」
「へ……あ、あの……。」
「彼女出来てもヘタレだからか幻滅されるわ浮気されるわ、俺ほんと魅力ないってよく言われるんだけど。」
「そ、そんなこと…ない、です。先生は…か、か、カッコいいです!世界で、1番、です!」
思わず強く反論した。
僕は先生が1番カッコ良いと思ってる。
嘘じゃない。
だから、今もこの距離では顔を見ることが出来ない。
「先生……は、こんな僕…気持ち悪く、ないんですか?」
本当はバカバカしい子供の夢に付き合っているだけじゃないのかな。
そう疑うくらい、今の状況は想定出来なかったもの。
「月宮。」
先生に右手を掴まれると、掌は先生の左心房に当てられる。
「あ。」
ドクドクドクドク ドクドクドクドク
僕の心臓と、同じ速度。
「お前も、同じ気持ちじゃないか?」
「……はい。」
「俺さ、まだ全然月宮のこと知らないけど、これからもっと好きになっていくから。」
「……先生……嘘じゃないですか?これ、夢じゃ……。」
まだ疑う僕に、先生の顔が迫った。
「ん…。」
今度は、触れるだけじゃない。
僕の震えている唇を先生が食べるように、キスをした。
「両想いじゃないと、こんなキス出来ねーよ。」
先生の目はいたずらっ子のようだった。
そして綺麗な指が僕の唇に添えられた。
「口、熱いか?」
「は、い……。」
「じゃあ、夢じゃない。」
夢じゃ、ない。
僕はまた涙が溢れた。
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