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 キーンコーンカーンコーン  昼休みが終わるチャイムが鳴ったのに、僕は動けないでいた。 「ん……ふぁ……っ。」  先生が離してくれなくて。  僕も先生から離れたくなくて。  泣き止んだら、したこともない深いキスをしてくれて。 「せんせ……授業は…?」 「ん?空き時間だからヘーキ。月宮は?」 「……戻らなきゃ…だけど……。」 「だけど?」 「先生と…は…なれ…たくない…です…。」  掴んで、本音をついつい漏らす。  先生に顎を掴まれると、また苦しくて熱い口付け。 「はぁ……あぁ……んう……。」 「月宮……好きだよ……。」 「ぼ、く……も………好きです…。」 「月宮。」  先生の唇が、僕の耳たぶに触れて。 「なぁ、抱いてもいいかな?」  その囁きは、鼓膜を揺らすから幻聴じゃないって。  僕は、先生の首に腕を回して抱きついて。  消えそうな声で答えた。 「抱いて、下さい…。」

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