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最終話 好きなもの。

駅の改札口で、俺を待つ彼の姿が見えた。 彼は何を尋ねるでも無く、俺に笑顔を向けてくれた。 『椿。帰ろ。』 「うん。」 マンション迄の帰り道、2人で手を繋いで歩いた。 『花火大会楽しみだな。』 「涼。」 『ん?』 「大好きだよ。」 『椿。』 「ん?」 『愛してるよ。』 彼の優しさで心が満たされていく。 父と母と笑顔を交わし合う。 そんな日が訪れてくれる事を願う。 いつか。 きっと。。 俺の名前は神崎 涼 21歳。 20歳の誕生日を迎えたあの日 俺は人生初の恋に落ちた。 セカンドから始まった俺の恋。 そして今。 俺が愛して止まないその人は 俺の愛を受け容れてくれた。 愛する勇気を持ってくれた。 俺の名前は一ノ瀬 椿 22歳。 彼と出逢えたあの日 俺は人生初の恋に落ちた。 嘘から始まった俺の恋。 そして今。 俺が愛して止まないその人は 有りの侭の俺を受け容れてくれた。 愛する勇気を与えてくれた。 俺には好きなものが増えた。 夏の夜。 花火大会の夜。 男の俺を好きな彼。 そして、、 男のままでいたい俺。。

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