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プロローグ

 ずっと好きだった男におもちゃのように扱われていた俺を神様は哀れんでくれたのか、俺には勿体無いくらいまともで良い男を与えてくれた。  喧嘩早い事を除けば性格は良いし、優しいし、一途だし、何より他人を大切にする事ができる男だ。  俺は彼の一途で真っ直ぐな想いにあっさりヤラれた。  押されて押されてあっけなく彼の腕に落ちた。  そこはどこよりも何よりも居心地が良い。  暖かくて柔らかくて、一度味を知ってしまったら抜け出せない中毒性のある薬みたいに――。  ずっとずっと、こんな風に好きな誰かに優しく愛されたかった。  強がってひとり進むこの道で、手を繋いで歩いてくれる誰かを探してた。  そしたら、俺を捨てていなくなってしまった本当の家族のことなんて忘れられると思ったから――――もうひとりだと、思わなくていいんだと……。 ――俺は今、幸せだ――――欲張らなければずっと幸せでいられただろう。 ――俺は、  最低な人間だ――――

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