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第3話

聞けば、最高級ホテルの一番の大広間を貸し切って、なんかオーケストラみたいなのを呼んで生演奏させながら、ドレスや燕尾服みたいなのを着てワインやシャンパン飲むみたいな、そういうパーティーなんだそうな。 「クラブとかでやってるみたいなやつじゃないの?」 「全然違う。草野球とメジャーくらい違う」 「やってることは一緒じゃん!」 「違う…ごめん、例えが悪かった…」 とにかくしんどいんだってさ。 「だってよぉ、通訳だからついて行くけど、一応結婚したじゃん、スーツだし紹介されるし絡まれるしマジしんどい」 「あー」 何となく想像つくわ。 ちょっとお堅い雰囲気で、ダンナの横について通訳しながら、オクサマとしても挨拶しなきゃなんないだろうし。 「しんどいね、しんどいね兄さん……」 俺もじわじわ就活し始めてる身だからわかるよ。なんとなく。俺くらいの苦労とは全然レベル違うんだろうけどさ。 「しかもよ、サラッと紹介するだけならいいけど、アイツ調子こいて "こいつが噂のうちのワイフだぜ" とか大袈裟に言うもんだから、もー大騒ぎだよ、そのたんびにさ」 「ん?」 「ヤツも調子乗ってキスとかしてくるじゃん、公共の場でそういうのやめろって何回も言ってんのにぜんっぜんやめねぇの!」 「はぁ」 「しまいに人がスーツ着ただけでセクシーだ何だっつって朝から襲ってくるし…おかげで毎朝出勤遅刻ギリギリだし…」 「結局ノロケかよ!」 「ノロケじゃねぇよ!」 なーんでノロケだって気づかないのかね? 俺が同じようなこと言ったら絶対ノロケだっつってぶん殴るくせに~。 あ、そういえば、ノロケで思い出した。

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