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第2話

「でもちゃんと金もらってんでしょお? いいじゃん」 ちゃんと従業員扱いで、しっかり給料もらってるんだって。すごくない?日本だと、夫婦だからってその辺曖昧にしそうじゃん。そこはさすが外国企業だよなぁ。 「そうだけどよぉ、ホントにアレやめてほしい…」 小声で言うからちょっと聞き取りにくい。 「何?何が?」 わざとらしく耳に手を当てて顔を寄せると、まだぽそぽそ言ってる。 「何?聞こえない兄さん」 聞き直すと、やっと聞こえた。 「……パーティー……」 「ぱぁてぃいいい?」 変に語尾を上げて聞き返しちゃった。 「え、何、パーティー? 何のパーティー?」 「何回も言わなくてもいいだろ、パーティーだよパーティー」 海外ってパーティーよくやるって聞いてはいたけど、そういうことかな? 「仕事のパーティーだよ、もう何回行ったか」 指折り数えてる。何本も指折ってる感じからするに、平気で10回くらいはやってるみたい。 「パーティーなんかいーじゃん、兄さんもパリピデビューじゃん!」 ゲラゲラ笑うけど、兄さんは起き上がってビール一気飲みして、違う!と唸った。 「お前らのやってるみたいなパーティーじゃねぇんだよ、世界中の政財界の人間の来るようなパーティーなんだよ」 「え? 何? せーざいかい?」 「外国の政治家とか会社経営者とかの集まるパーティー! もう…もうマジ社交界…」 しまいに顔を覆って泣いたフリまでする。

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