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数日後、ケンタッキーは無事に本当の飼い主のもとへ帰っていった。 夏樹は相変わらず優しくて、暴言を吐いた大智をあっさりと許した。 大智は決意する。 誰にでも優しくて、 何でも受け入れてしまう先輩を、 俺がまるごと受け止めてあげなくては。 と 「だーいーちー!開けてー!」 「はーい!」 外から夏樹の声がしたので、急いでドアを開ける。 「フゴ、フゴ、ブヒィィイイ!」 「迷子だったから連れてきた」 大智の目の前には、満面の笑みをした恋人と、一匹の豚。 くらりと目眩がし、先程の決意が早速揺らぎそうになる。 「…………先輩、今回の子は何て名前なんですか?」 「この豚は“トンカツ"ちゃんだ!」 終

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