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第34話
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耳の中に蔓延る妙なくすぐったさで、目がパッチリ覚めた。そしてすぐ異変に気付く。両耳が誰かによって、べろべろ舐められていることに!
「やっ! なんで?」
首を横に振りながら両手で耳を隠したら、浩司兄ちゃんと怜司に顔を覗き込まれた。ふたりとも裸になっているのが目に留まり、慌てて自分の姿を見てみる。
「ちょっ、なんだよこれ……」
玄関で突っ伏していたハズなのに、いつの間にか藤島宅の客間らしきところに移動しているだけじゃなく、全裸にさせられているとは! しかも太ももにバンドが巻かれていて、それに鎖が繋がっている。その先は――。
「嘘……。首輪が付けられてる?」
耳を隠している手で鎖を引っ張ってわかった。どうやら鎖は、首輪に繋がっているらしい。
「龍、好きだ」
苦情を述べようとした僕の唇を、真剣な顔した怜司が塞ぐ。押しつけられる唇の隙間から舌が差し込まれ、僕の舌に絡もうとする。
「んうっ!」
「乳首だけじゃなく、ここも勃っちゃったね」
そのことを耳元で、わざわざ告げた浩司兄ちゃん。次の瞬間には、僕のアレはあたたかなモノに包まれ、じゅぷじゅぷ音をたてた。浩司兄ちゃんの口の中を、激しく出し挿れされているらしい。
「ンン……んあっ、やらっ!」
両腕で怜司の躰を押し返そうとした矢先に、両手首を掴まれて、頭の上に磔にされてしまった。
「龍、俺たちはもう我慢できなくなった。おまえがほしくて堪らない」
怜司は顔を近づけて、ふたたびキスしようとしたので、顔を横に背けて拒否した。
「僕はこんなこと、イヤだって言ったじゃないか。なんでふたりして、僕に嫌われるようなことを」
「俺だけじゃなく怜司も、龍が誰かにとられることを危惧したからだよ」
僕の言葉を遮った浩司兄ちゃんのセリフにかぶさるように、怜司が話を続ける。
「事の発端は兄貴だからな。ただでさえ悪評が際立ってるっていうのに、龍の名前を出してセフレをたくさん作ったりするから、どんなヤツなんだって皆が興味を示すんだ。あの藤島が夢中になってる男は、どれくらいすごいヤツなんだって」
「どういうこと?」
怜司の言ったことがわからず、ちょっとだけ顔の向きを戻しつつ訊ねてみた。
「龍は知ってる? ウチの高校に、めちゃくちゃ素行の悪い生徒が三人ほどいることを」
「悪いことをして目立ってるってこと?」
「ああ、そういうこと。ひとり目は二年の前田先輩。すぐにキレて手を出す暴力的な生徒で、ふたり目は三年の木下先輩。嘘とホントをうまいこと混ぜて人を騙して、金をとってる。さんにん目は兄貴さ。不純異性交遊しまくってるって評判なんだぞ」
言いながら僕の下半身に覆いかぶさってる浩司兄ちゃんに、厳しい視線を飛ばす。
「怜司、龍の前では優しいお兄さん的な存在でいたかったのに、バラしてほしくなかったな」
「どの道バレるに決まってる。他人の口から耳にするよりも、まだマシだろ」
「浩司兄ちゃんは、本当に悪いことをしてるの?」
「だってそうしないと、龍に手を出して嫌われちゃうかもしれなかったから。仕方なかったんだよ」
へらっと笑って僕自身を口に含み、裏筋を感じるように丁寧に舐める。
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