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第36話

 表現しがたい違和感に躰を強張らせると、怜司は僕の骨が軋む勢いで強く抱きしめた。 「ぁっ…っぁあ……はあぁ、ああっ」 「苦しければ俺に抱きつけばいい。背中に爪を立てたってかまわないから」 「れぃ、じっ」  怜司の胸元からなんとか顔をあげると、心配そうな表情で僕を見つめる。 「兄貴のが龍のナカに挿れられてる。龍はハジメテだから、つらさしかないかもしれないけど、少しだけ我慢してくれ」  その言葉に、反発する返事をしようとした刹那だった。ゆっくり挿入していた大きなモノが、少しだけ引いたと思ったら、最奥を強く突いた。 「ふぁっ!」  嫌な圧迫感ばかりだったのに、最奥を突かれた瞬間、それまでの違和感がすべて吹き飛び、甘い衝撃に変わった。しかも大きなモノで出し挿れされるたびに、感じる部分に何度も擦れるせいで、イったばかりの僕自身の形が変化していく。 「浩司兄ちゃ…奥突いちゃぁ、っあ! だめっ…やらっ!」  怜司の上半身に縋りつくように抱きつきながら、抵抗するセリフを大きな声で叫んでも、浩司兄ちゃんの動きは激しさが増すばかりだった。 「あ~もう無理。龍が感じるたびにナカがぎゅんぎゅん締まって、すげぇ感じさせられる」 「や…め…っん、ンンっ……ぁあっ」  喘ぎ声が漏れる室内に肌と肌が当たる音と、大きなモノが出し挿れする卑猥な水音が響き渡る。いきなり僕の太ももをぎゅっと抱きしめた浩司兄ちゃんが、何度か細かく痙攣しながらナカで果てた。それまで激しかった動きが、ぴたりと止まる。 「怜司、サンキュー。龍を押さえ込んでくれたおかげで、躰がズレなかったのもあって、すんなり挿入できた。次はおまえの番だ、準備しろ」  僕のナカから、浩司兄ちゃんのが引き出された感触が伝わる。これから入れ替わりで、怜司がさっきのをするんだと思ったら、涙が滲んできた。 「龍――」  抱きついた腕の力を抜いたら、怜司は僕に声をかけて顔を覗き込む。涙が滲むせいで、怜司の顔がよく見えない。 「龍、俺の気持ちを受け止めて」 「えっ?」  滲む涙を拭おうと、利き手で目元を拭ったら怜司の顔が近づき、僕の唇にキスをした。今までは唇を押しつけるようなキスばかりしていたのに、このときされたものは軽い接触で、すぐに離れていく。離れたと思ったらふたたび近づき、小鳥がついばむようなキスが僕の唇に降り注ぐ。 「あ……っは…ぁ、怜司、ぃっ」 「つらかったらすぐに言えよ。やめてやるからさ」  怜司はちょっとだけ悲しそうな顔で告げてから、最後に強く唇を押しつけるキスをして離れていった。

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