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第42話

「キレイで淫らな龍を、俺ので汚したかったんだ。ごめん、すぐ流してやる」 「ついでに、ナカに出したモノを掻き出す。ここままだと、お腹が壊れるからさ」  こうしてふたりの手によって、躰の隅々まで洗われた僕は、体形に合った真っ白なバスローブを着せてもらい、リビングに連れられた。ソファに座り、背もたれに躰を預ける。 (イキすぎて、躰だけじゃなく頭もフラフラする。僕ひとりでふたりを相手にしてるんだから、当然なんだけど――) 「龍、喉が乾いただろ?」  僕の横に座った怜司の顔が近づき、無防備な唇を塞ぐ。キッチリ押しつけられた唇から、オレンジジュースが流し込まれた。 「んっんッんっ…あっん」  流し込む液体がなくなると怜司の舌が忍び込み、僕の舌ににゅるりと絡む。こういう行為がお腹いっぱいだった僕は、顎を引いて逃げたというのに、怜司の手が後頭部を押さえて動けないようにし、いやらしい音をたてながら舌を出し入れされた。 「れぇじっ…やっやめっ、んふっ…いっやっ」 「龍の感じてる声が聞きたいんだよ」 「怜司、そこまでにしろ。龍は俺たちを相手にして、かなり疲労してるハズだ。休ませる時間くらい、ちゃんと作ってやれって」  浩司兄ちゃんが怜司の手を掴んで僕から外すと、今度は僕の両腕を引っ張りあげ、ダイニングの椅子に座らせる。 「ドライヤーかけてやる。そのまま楽に座ってて」 「浩司兄ちゃん……、ありがと」 「ウチに来て、風邪を引かせたりしたら、かわいそうだからさ。晩ごはん、ピザを頼む予定なんだけど、龍も食べていけよな」  三人の中で一番の年長らしい気遣いに、ホッとした瞬間だった。 「龍の髪、くせ毛の俺らと違って、真っ直ぐで綺麗だな。分け目はこっちだったか」  手際よくドライヤーをかけながら、楽しげに話しかける浩司兄ちゃん。指先がマッサージするように地肌に触れると、気持ちよくてついウトウトしかける。 「んッ!」  だけど僕がウトウトして船を漕ぎはじめると、浩司兄ちゃんの手が耳の穴や首筋に触れて、僕を無理やり目覚めさせた。 「ドライヤーが終わったら、龍が和室で仮眠をとれるように、布団を用意するな」 「俺、手が空いてるから、用意してくる」  浩司兄ちゃんの話を聞いていた怜司が、座っていたソファから腰をあげて、颯爽とリビングから出て行った。 「なんかふたりに、お世話ばかりかけちゃってる気がする」 「俺らは大好きな龍の世話ができるだけで、すごく嬉しいんだ。気にするな」  こうして僕はふたりの気持ちに甘えつつ、和室で仮眠をとらせてもらった。

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