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第44話
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怜司が用意したというツルツルのシャツを着て、さっきの和室でお泊まりすることになった。
この部屋に泊まることが決まったときに、浩司兄ちゃんが腰に手を当てながら、
「俺は模試の勉強があるからまだ起きてるけど、怜司は寝ろよ。龍は疲れてるんだからな!」
と先に釘をさしてくれたので、安心して寝ることができた。いろいろあったせいで疲れているのもあり、いつも以上に寝つきがよかった。だけど――。
「……う、んぅっ?」
ツルツルのシャツの上から、乳首を執拗に引っ掻く誰かの手。その触り方で誰なのかすぐにわかってしまうくらい、ソイツは僕の胸が好きなわけで。
「怜司、浩司兄ちゃんに言いつけるぞ」
横向きで寝ている僕の背後に寄り添うように横たわる、怜司に話しかけた。
「だってひとつ屋根の下に大好きな龍がいると思ったら、どうしても一緒にいたかったし」
「こんなことをするなら、僕は自宅に帰るけど」
「ズルいって思ったんだ!」
やんわりと僕に抱きつきながら告げられたセリフがわかりかねて、大きなため息をついた。
「なにがズルいんだよ。意味がわからないって」
「兄貴ばっかりいい思いしてる」
「どこがだよ?」
言いながら怜司の腕の中で振り返り、目の前にある顔を見てやる。薄暗がりだったが目を凝らすと、眉根を寄せて泣き出しそうな表情がそこにあった。
「さっき……風呂場でさ。兄貴のヤツは龍のナカに生挿入して、中出ししただろ。俺はそんなことしてない」
「怜司だって、僕の口の中で気持ちよくなったというのに」
「だけど龍のナカではイってない!」
「そんなことで――」
(これってふたりを相手にしたとき、それぞれ同じことをしなきゃいけないってことじゃないのか?)
ただでさえ、ふたりを同時に相手にしている時点で大変だというのに、対等に扱っていないとなると、今回のように寝込みだけでなく、隙があればどこかで襲われる可能性があることに気づいた。しかもふたりから逃げていたら、いつの間にか薬を使われて、無理やり行為に及ばれた実績がある以上、どうにも逃げられる気がしない。
それにふたりの想いが強すぎて、なし崩し的に僕は受けてしまうだろう。今だって怜司の顔を見てるだけで、可哀想に思えてくる。
「怜司、いいよ。痛いことをしなければ、僕の躰を好きにして」
「龍……」
「怜司のは大きいんだから、無理やり挿れたりしないで」
俯きながら告げた途端に、ぎゅっと躰を強く抱きしめられた。
「龍を感じさせるように頑張る。だから声、我慢しないで」
「恥ずかしいから、あまり声を出したくないんだけど」
「俺は龍の感じてる声が大好き。聞いてるだけで、イキそうになる」
怜司が笑いながら、僕の額に唇を押し当てた。
「ねぇ龍からキスして。そして俺を犯すみたいに、舌を出し入れしてみてよ」
「僕からそんなエロいこと――」
「龍だって男だろ。俺を感じさせてみたくない? 龍にされたフェラ、すごく気持ちよかったぞ」
まるでスタンバイするように、怜司は僕の顔に近づく。ドキドキしつつ、近寄った顔に狙いを定めながらを顔を近づけ、薄く開いている唇に自分の唇を押しつけた。
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