66 / 73

第66話

「俺のなにがほしいって?」  わかってるクセにわざわざ訊ねるとか、すっごくイジワル! 「浩司兄ちゃんのコレ……」  負けじと浩司兄ちゃんの大きいのを、ぎゅっと握り込んでやる。すると目の前で、ほくそ笑みを浮かべて小首を傾げた。 「コレだけじゃあ、全然わからないな。俺の部屋よりもここは広いから、大きな声じゃなきゃ聞こえないかも」 「ちょっ、それって――」  内なる困惑を示すように、僕の頬が真っ赤になるのがわかった。 「龍がきちんと言わなきゃ、あげることはできないぞ」 「え~……」  口ごもる僕を見ているのに、目の前でそれを口パクする浩司兄ちゃん。たった三文字の言葉なのに、恥ずかしくてなかなか言えない。 「自分からお触りするくらいに、コレを欲しがってるのになぁ。だったら今日はここで、龍のチ☆ポを扱いて終わりにするか」  そのセリフを実行しようと、僕の大事なところに触れる大きな手。自分でスるよりも浩司兄ちゃんに気持ちよくされたら、それこそすぐに終わってしまう。 「浩司兄ちゃんお願ぃ。浩司兄ちゃんの☆ンポを、僕のナカに挿れてほしい!」  両目をつぶって告げた言葉は、かなりの声量になった。だから聞こえなかったなんて、絶対に言わせない。 「…………」  静まり返る音楽室。自分の乱れた呼吸を、嫌というくらいに意識してしまった。 「龍――」  浩司兄ちゃんは、優しい声色で僕の耳元に囁いた。 「龍のお願い、きいてあげる。だから感じたら恥ずかしがらずに、たくさん声を出して」 「僕の声?」 「そう。いつもは我慢してるだろ? ここだと周りを気にしなくていいから、思う存分に出してほしくて。龍の感じてる声を聞いてみたい」  そして目の前に見せつけられる、なぞの小さなパッケージ。ひとつはゴムだってわかるけれど、もうひとつは見たことのないものだった。 「浩司兄ちゃん、ピンク色のそれはなに?」  訊ねる僕のベルトを浩司兄ちゃんは手際よく外し、下着と一緒にスラックスを脱がした。 「なにって、ローションだよ。知り合いから試しに使ってみろって、もらったものがポケットにあったんだ」  嬉しげにほほ笑んで小袋を破り、僕の後孔に塗りつける。 「ンンっ! なん、か、じわじわ熱い」 「やっぱり媚薬入りだから、いつものと違うのかな」 「媚薬⁉」  それを意識したら、余計にその部分が熱くなっていく気がした。 「龍が気持ちよくなるように、たくさんゴシゴシしてやるよ。ほら、足を大きく開いて」  恥ずかしかったけど、浩司兄ちゃんに見えるように足を開いた。間髪おかずに指が挿入して、僕のナカを解すように蠢いた。 「あっ……あんっ、ん、ふ、あぁ」 (どうしよう、浩司兄ちゃんの指だけで、イキそうな感じがする)  気持ちよさを追い求めるように、腰がカクカク動いてしまう。 「んんっ……ぁっ…っぁあ…」 「龍、すごく感じてるだろ。締めつけ、いつもよりすごい」 「らってナカがじんじんして、浩司兄ちゃんの指が気持ちいぃところを突くから、ああっ…感じちゃうぅっ!」  あまりの気持ちよさで、全身の力が抜けていき、口の端からヨダレが滴る。浩司兄ちゃんはそれを、自身の舌先で掬って舐めとった。顎から唇に向かってなぞられる動きが妙にくすぐったくて、肩を竦めてしまった。

ともだちにシェアしよう!