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第66話
「俺のなにがほしいって?」
わかってるクセにわざわざ訊ねるとか、すっごくイジワル!
「浩司兄ちゃんのコレ……」
負けじと浩司兄ちゃんの大きいのを、ぎゅっと握り込んでやる。すると目の前で、ほくそ笑みを浮かべて小首を傾げた。
「コレだけじゃあ、全然わからないな。俺の部屋よりもここは広いから、大きな声じゃなきゃ聞こえないかも」
「ちょっ、それって――」
内なる困惑を示すように、僕の頬が真っ赤になるのがわかった。
「龍がきちんと言わなきゃ、あげることはできないぞ」
「え~……」
口ごもる僕を見ているのに、目の前でそれを口パクする浩司兄ちゃん。たった三文字の言葉なのに、恥ずかしくてなかなか言えない。
「自分からお触りするくらいに、コレを欲しがってるのになぁ。だったら今日はここで、龍のチ☆ポを扱いて終わりにするか」
そのセリフを実行しようと、僕の大事なところに触れる大きな手。自分でスるよりも浩司兄ちゃんに気持ちよくされたら、それこそすぐに終わってしまう。
「浩司兄ちゃんお願ぃ。浩司兄ちゃんの☆ンポを、僕のナカに挿れてほしい!」
両目をつぶって告げた言葉は、かなりの声量になった。だから聞こえなかったなんて、絶対に言わせない。
「…………」
静まり返る音楽室。自分の乱れた呼吸を、嫌というくらいに意識してしまった。
「龍――」
浩司兄ちゃんは、優しい声色で僕の耳元に囁いた。
「龍のお願い、きいてあげる。だから感じたら恥ずかしがらずに、たくさん声を出して」
「僕の声?」
「そう。いつもは我慢してるだろ? ここだと周りを気にしなくていいから、思う存分に出してほしくて。龍の感じてる声を聞いてみたい」
そして目の前に見せつけられる、なぞの小さなパッケージ。ひとつはゴムだってわかるけれど、もうひとつは見たことのないものだった。
「浩司兄ちゃん、ピンク色のそれはなに?」
訊ねる僕のベルトを浩司兄ちゃんは手際よく外し、下着と一緒にスラックスを脱がした。
「なにって、ローションだよ。知り合いから試しに使ってみろって、もらったものがポケットにあったんだ」
嬉しげにほほ笑んで小袋を破り、僕の後孔に塗りつける。
「ンンっ! なん、か、じわじわ熱い」
「やっぱり媚薬入りだから、いつものと違うのかな」
「媚薬⁉」
それを意識したら、余計にその部分が熱くなっていく気がした。
「龍が気持ちよくなるように、たくさんゴシゴシしてやるよ。ほら、足を大きく開いて」
恥ずかしかったけど、浩司兄ちゃんに見えるように足を開いた。間髪おかずに指が挿入して、僕のナカを解すように蠢いた。
「あっ……あんっ、ん、ふ、あぁ」
(どうしよう、浩司兄ちゃんの指だけで、イキそうな感じがする)
気持ちよさを追い求めるように、腰がカクカク動いてしまう。
「んんっ……ぁっ…っぁあ…」
「龍、すごく感じてるだろ。締めつけ、いつもよりすごい」
「らってナカがじんじんして、浩司兄ちゃんの指が気持ちいぃところを突くから、ああっ…感じちゃうぅっ!」
あまりの気持ちよさで、全身の力が抜けていき、口の端からヨダレが滴る。浩司兄ちゃんはそれを、自身の舌先で掬って舐めとった。顎から唇に向かってなぞられる動きが妙にくすぐったくて、肩を竦めてしまった。
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