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第97話 ※忘れてませんか?

何? 「ん…」 顔に熱くて粘つくものが掛けられた事に驚いた。 「はぁっ、ふう…」 おじさんが満足そうに溜め息をついた。 目の前の大きなおちんちんは、おじさんが片手で支えていて、こっちに向けられている。 まだ元気に勃ったままだった。 「顔射されてザーメンまみれな結斗は、綺麗だな…エロいかも…」 その言葉で漸く僕は自分の顔に精液が掛けられた事に気がついた。 射精の余韻に浸りすぎて、思考が停止状態だったからだ。 僕は回らない頭で何とか指を動かして、顔に掛けられた精液を拭った。 指に付いたソレを何となく無意識に口へと持っていく。 それがまるで正しい当たり前の事だと思っているかのように…誰に言われたわけでもないけど。 ちゅぶ…っ ペロペロッ 「ヴ~ッ…美味しくない」 素直な感想が口から自然と出た。 前にも味わった事がある。 そうだ。おじさんに無理矢理口におちんちんを入れられた時だ。 確か飲みたくないけどゴックンしてしまった記憶が甦る。 思わず眉間に皺を寄せて、舌を出した。 不味い、変な味と匂いが残っている。 でも不思議と嘔吐感は沸き起こらない。 「ふ、ふ、ふふっ、アハハハハッ!」 突然おじさんが笑いだして、僕は首を傾げた。 何を急に笑いだしたんだろうか? 「やぁ、悪いワルい、結斗~ッ…」 なんて言いつつ、まだ笑ってる。 しかも全裸で下半身勃起させて…顔と体はカッコイイけど、おかしな光景だ。 そんな男の精液を浴びて、僕は力なく見上げて様子を伺っていた。 「ザーメンまみれで少年らしさを残しつつ大人っぽい色気を感じていたのに、その後のザーメン舐めた時の結斗の顔ときたら~、ふっ、クックックッ、アハハハハッ!」 「…」 そこまで笑うこと~? 被害者の僕に謝罪も無い。 「…もうッ!」 ただ笑い続ける。 何処がそんなにツボなのか理解出来ない。 そうこうしている間に、僕の余韻はすっかり飛んでいき冷静な自分が顔を覗かせていた。 「おじさん。いつまでも笑ってれば?僕、シャワー浴びるからね」 「あ、結斗!俺も一緒に~」 その勃起した凶器を野放しにしたまま、同じ風呂場でシャワーとか…無理。 僕は一度射精したから、ある意味スッキリしていた。 …まぁ、顔はスッキリしてないけど。 とにかく、今の状態のおじさんだと絶対に何かをされそうだ。 あぁっ、そうだった! これは重要な案件だ。 話題転換しよう。 「ところで忘れてませんか?おじさん」 「何を」 僕たちは急いで服をクリーニングに出さないといけない事を。 おじさん、絶対に忘れてるだろう。 「あぁ、大丈夫」 おじさんはケロッとした顔で言った。 「服の事なら心配無用。ここから、ポイッ」 浴室の壁の部分に備え付けられている小さな扉を開けると、僕とおじさんの服一式を本当にポイッとその中へと投げ入れた。 「え、え、え、何?」 さっぱり分からない僕は頭にはてなを浮かべた。 「ここから洗濯物を出せば、どんな汚れもたちまちピカピカ」 「え、ほ、本当に?」 驚く僕におじさんは頷いた。 「だから安心して。さ、一緒にシャワーを浴びよう?」 うん。取り敢えず、早くおじさんに掛けられた精液を流したいな。 シャワールームに入ると、おじさんを追い出した。 「ゆ、結斗?何で?」 戸惑うおじさんに言ってやった。 「これから続きはやらないからね!ご飯に間に合わなくなるもん」 シャワールームの内鍵を閉めた僕でした。

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