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第23-1話

「……離れちゃ、やだ」 不意に── さくらの両腕が伸び、俺の首根っこに絡み付く。 色気を含む潤んだ瞳。哀しげに掠れる声。俺を求め、縋り付こうとするその様に、愛おしいものが込み上げる。 と同時に疼く、下肢の中心。 ──クソ、無自覚に煽りやがって。 早く喰いたいと張り詰める欲望。先端から滴る涎。即物的なものだけは避けようと、僅かに割り開かれたさくらの唇を強引に塞ぐ。 そこから熱い舌を捻じ込めば、怖ず怖ずと濡れそぼつ舌先が差し出される。 クチュ、チュくっ…… その舌に絡み付き、甘い粘液ごと強く吸い上げれば、水音と共に淫らなリップ音が鳴り響く。 普段は、そんな素振りなんて見せねぇ癖によ…… 心の中で悪態をつきながらも、その積極的な行為に嬉しさが込み上げて仕方がない。 ……はぁ、はぁ、はぁ、 名残惜しむように唇を離し、鼻先三寸の距離でさくらを見下ろす。 紅潮した頬。潤んだ瞳。甘く蕩けた表情。苦しそうな熱い吐息。 無防備なその姿に、俺を受け入れようとしているのが解る。 ……でも、何だ。この僅かに残る違和感は。 左手でさくらの横髪をそっと梳き、耳朶を抓んで優しく揉みしだく。そうすれば長い睫毛を柔く下ろし、顎先を僅かに持ち上げてみせる。 その小さな反応すら、愛おしい。 「……」 ああ、クソ。 可愛すぎて堪らねぇ…… 上体を起こし、腕を交差させて自身の服を掴むと、一気に捲り上げる。 その様子を恍惚した目で見つめるさくら。同じ男とは思えない程小さくて。可愛くて。少しでも乱暴にしたら、折れてしまいそうな程細っこくて。 優しくしてやりてぇのに……その余裕がねぇ。 くそ、ダセぇな……。 何度も何度も荒い呼吸を繰り返し、暴走しそうになる脳みそを何とか冷却しようとする。 「………りゅ、……いち……?」 蕩けた二つの瞳が、俺をぼんやり捉えたままゆっくりと瞬きをする。 その刹那、潤んだレンズの表面が水飴のように甘く光り、胸の奥がズクンと疼く。 ──ああ、クソ! チッ、と小さく舌打ちをし自身の服を脱ぎ捨てると、さくらの服に手を掛ける。ぺらりと裾を捲れば、露わになる陶磁器のような白い肌。 「……」 更に捲り上げれば、胸元にある桜色の突起が、恥ずかしそうに顔を覗かせる。

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