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第23-2話

くちゅ…… シルクのような柔肌に指を這わせ、平たい胸を揉みしだく。そうしながら小さく主張する桜色の乳首に吸い付き、舌先で転がせば、さくらの身体がぴくんと跳ね上がる。 ………はぁ、はぁ、はぁ、 淫らな布擦れの音。 苦しそうな吐息。 匂い立つ甘い香りにもあてられ、理性の(たが)が外れそうになるのを必死で堪える。 クソ…… 今まで、経験がなかった訳じゃねぇのによ。 脳裏を過ったのは──転校前。 地元のヤンチャな先輩達に可愛がられ、連んでいた頃。そのグループに出入りしていた年上の女性に気に入られ、誘われるがままに童貞を捨てた。 その後も何度か呼び出され、身体を重ねる関係が続いていた。 最初のうちは溺れかけていた性欲も、次第に薄れていき……愛情の欠片もない相手との行為に、虚しさばかりが募っていった。 あの頃は、性に対して惰性的だったが──今は違う。 愛おしい相手との行為だと思うと、それだけで胸の奥が熱くなり、気持ちが昂ぶっていく。 「……ゃ、」 微かに溢れる嬌声。 徐に伸ばされたさくらの手が、俺の鎖骨辺りを柔く押し返す。 その手首を掴んでベッドに強く縫い付ければ……諦めたんだろう。それ以上抵抗はしてこなかった。 「……」 ふと蘇る、先程感じた違和感。 指を交差させながら手のひらを重ねれば、その指先が僅かに震えていた。 ……そんなに怖ぇ思い、したのか…… 頭を擡げ、さくらの顔を覗き込む。 頬を紅潮させながらも長い睫毛が濡れ、何処か物憂げな瞳を揺らしている。 「………まだ、怖ぇか?」 もう何度も口にした台詞。 トラウマを植え付けた自分や佐倉を憎らしく思いながらも、いま目の前にいるさくらの精神を気遣い、心情を探る。 「……」 小さく首を横に振り、俺の手を柔く握り返す。 傷ついて、怖い筈なのに。……それでも尚、自分を求めて止まない健気な姿に、胸の奥が柔らかく痛む。 「無理、すんじゃねぇ」 無理矢理抑えつけてしまった行為を今更ながら後悔し、さくらを見つめたまま上体を起こす。 と、繫いだ手をクンと引っ張られる。 「………止めちゃ、やだ」

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