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第23-3話
潤んだ二つの瞳に浮かぶ、物憂げに揺れる光。
俺を求めながらも、やはり何処か不安げで。その理由を探ろうとさくらを見つめ続けるが……確たるものが見つからない。
「……」
さくらが望むなら、別に止めねぇ。
ただ……お前が内に秘めてるものを、俺に見せろ。
全部吐き出せ。
剥き出された太腿に手を這わせ、膝裏に手を掛けて持ち上げると、その内側にキスを落とす。
「……んっ」
ピクンと跳ねるさくらの顎先。
内腿を食み、舌を這わせ、胸の方へと膝を押し上げる。と同時に繫がれていた手を解き、熱く滾る怒張を握り込む。先走りで濡れた切っ先。それを、剥き出されたさくらの後孔に宛がう。
「──ゃ、ダメ……、
そんな、とこ……汚い……」
ふるる、と震える身体。
持ち上げた足を肩に掛け、不安げに瞼を閉じるさくらに身を重ねる。
「汚く、ねぇよ……」
もし、佐倉 に汚されたのを気にしてんなら……心配するんじゃねぇ。
そんな事でお前を見限る程、俺の愛は柔くねぇ。
───ギシ、ギシ、ギシ、
律動を繰り返す度、同じリズムで軋むベッド。
「痛かったら、言え」
「……っ、」
「我慢、すんじゃねぇ……」
浅い呼吸を何度も繰り返し、きつく瞼を閉じるさくら。その縁から溢れる涙を、親指の腹でそっと拭う。
初めて挿ったさくらの腸内 は、女のソレとは違う感覚で──入り口が狭く、絞まると根元が千切れそうな程キツイが、その奥はふわふわと包むように柔らかく、温かい。
腸壁 を擦りつける度に襲う快感。やっと繫がれた事に、想いが滾って堪らなく興奮する。
なのに──相変わらずさくらの表情に見え隠れする、憂い。その原因は一向に掴めない。
初めて身体を重ね、ひとつになったっていうのに──まだ、心の壁はぶち壊れねぇままか?
不意に。
さくらの指先が、汗ばんだ俺の腕に触れ……伝い下りながら、ベッドに付く手の甲に手のひらを重ねる。
「………見捨て、ないで……」
はぁ、はぁ、はぁ……
ゆっくりと瞬きをしながら、浅い呼吸を何度も繰り返す。
「この先、どんなことがあっても……」
『汚らわしい!』──その瞬間、エレベーター前で叫ぶぶりっ子女 の言葉が脳裏を貫く。
「ずっと、僕を──ンッ、、!」
言葉を遮るように奥を突いてやれば、さくらが苦しそうに唇を引き結ぶ。
───クソ。そういう事か。
チッと舌打ちした後、哀しげな瞳を揺らしながら縋り付くさくらを、熱い視線で射抜く。
「お前は俺のオンナだ。
他の誰にも渡さねぇ。
この先、何があっても──お前を一生離さねぇよ」
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