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第1話

ーーー 放課後、体育館裏で待つ ーーー 果たし状のような折り方をされたなんとも怪しげな雰囲気を漂わせたソレを見つけたのは今朝の事だ。 下駄箱を開けた瞬間、いくつかのピンクや花柄の便箋に入れられたラブレターらしき物の中で、ソレは一際自己主張が強かった。 果たし状を貰う程の事をした覚えが山程あるから冷や汗はダラダラで、顔面も蒼白だ。 校内イチの不良の彼女とヤった事、生徒会長が溺愛している妹とヤった事、下手な女より可愛いと言われている学校のアイドル的位置付けの養護教諭とヤった事、校内イチのイケメン王子とヤった事、その他諸々… こんな夢みたいなヤりたい放題の生活ができるのは、偏に俺が自他共に認める超絶イケメンだからである。 どちらかと言えば、近寄り難いタイプのイケメンじゃなく、フレンドリーなタイプのイケメンで、"顔は二枚目、中身は三枚目" と言われている。 頭も常にトップ5に入っているくらいにはいいし、スポーツも一通りこなせる。 キスもセックスも上手い…と思う。 唯一苦手なのが喧嘩だ。 果たし状の送り主が暴力に走ったらと思うと、その恐怖から何度もチビりそうになってトイレに10回は駆け込んだ。 そして、生徒が帰り支度や部活動を始めるようとする中で放課後を迎えた。 俺はと言えば、11回目のトイレを済ませ、果たし状片手に体育館前に居る。 果たし状は強く握り締めたせいでグチャグチャになり、手汗で湿った状態だ。 一歩一歩と体育館裏に近づく。 (あー…チビりそう…。つか、ご自慢のムスコが萎んでる気が…あぁ…このままインポになったらどうしよう…俺のセックスライフ…) そんな事を考えながら、ついに曲がり角まで来てしまった。 あと一歩… これを踏み込んだら待つのは… 地獄だ。

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