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第2話

最後の一歩を踏み込む。 物陰から襲われる可能性も考え、辺りを見渡した。 物置小屋… 緑が生い茂る垣根… どこから飛び出してきて襲われるか分からない。 頭の中はファイティングポーズで戦闘体制だ。 だが、いくら警戒しても相手が現れる気配はない。 (…あれ…もしかして誰も居ないのか?…) ただのイタズラであってほしい。 いや、これは間違いなくイタズラだ。 少しホッとして、力を抜くように息を吐いた。 「なんだ、イタズラかよ…」 ボコろうとしているヤツの方が遅く来るなんていうダサい事があるわけがない。 しかし、安心したのも束の間、俺は見つけてしまった。 ボワッと浮き上がった影… それは、間違いなくそこに居た。 壁を背に小さく丸まって座っていた。 気配を消していたのか、俺はソレに全く気付かなかった。 あれだけ警戒していたのに気付かないだなんて、幽霊やら忍が成せる技だ。 そして、ソレはゆっくりと立ち上がった。 「…き…来て…くれたんだ…」 蚊が鳴くような小さい声でソレはそう言った。 (つか、ちっさ!超ちっさ!!) もっとデカくて筋肉どーんみたいなヤツが居るものかとばかり思っていたが、立ち上がったソレはかなりチビで、華奢だった。 ソレは、俯いたままどんよりとした空気を纏っていて、顔を見ようにもそちらにばかり気を取られる。 「…えーと、どなた様で?」 相手がチビで、根暗っぽそうだと分かれば多少は気もデカくなるものだ。 だが、見た目に騙されて痛い目を見るのはごめんだ。 一応警戒しながら恐る恐るソレに近づいた。

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